2008年夏・北海道登山旅行

ちょうかんやま

標高 1218m
鷺泊港→30分→遊歩道入口→40分→甘露水→1:10→五合目→45分→六合目→30分→七曲→1:05→長官山山頂→20分→長官山避難小屋

利尻岳にはもう一度登りたいと思っていた。私が1991年に登った時、山頂は雲の中で、岩峰群を見ることができなかったのだ。今回は天気予報を確認して、さらに午後は雲が湧き上がることも想定して、長官山に一泊するプランで出かけた。
登山道から長官山を振り返る

 鷺沼港から甘露水へ 1991年9月の登山記録


稚内フェリーターミナル


フェリーが出航した


鷺泊港に入港する


キャンプ場まで歩く


街から外れるとひたすら車道歩き


甘露水ハイキングコースを行く


甘露水の東屋

BACK 雲井ヶ原


2008714

比布岳登山を終えて稚内に向かった。利尻岳に登るのだ。私がこの山に登ったのは1991年のことで、もう17年も前のことになる。悔やまれるのは8合目の長官山までは晴れていたのだが、そこから雲が湧いてきて山頂では何も見えなかったことなのだ。そ帰りは沓形へ下ったのだが、この下山路からはすさまじい岩峰群を眺めることができるはずなのに、それも雲の中であった。なんとしても晴れたときに登りたい…、ということで再挑戦することにした。天気予報では明日と明後日は晴れるはずで、私はこの天気を待っていたのだ。旭川から稚内までは250kmも走らなければいけないのだ。5時間もかけて稚内に着いたのは22時を過ぎていた。車をどこに停めようかと、フェリー乗り場の近くをウロウロしていたら、無料の立派な駐車場があった。昔は有料の駐車場に停めるか、違法駐車するしかなかったのだが…。
ともかく、この駐車場に停めて寝た。


715

朝、4時に目を覚ました。今回は長官山の少し上にある避難小屋に泊まるつもりなので、大きなザックに宿泊のための道具一式をパッキングしなければいけない。テントだけはおいてゆく。ただ、避難小屋にツアーの団体が来たりしたら泊まれなくなる可能性もあるのだが。
パッキングを終えて5時半、お湯を沸かしてゆっくりコーヒーを飲んでからフェリーターミナルに向かった。フェリー乗り場は移転していて、新しいビルになっていた。
朝一番の鴛泊行きは6時半である。
待合室は観光客であふれていて乗船が始まると長い列ができた。最後に乗り込もうとのんびりしていたが、次々と団体がやってきて列が途切れることがない。仕方がないので長い行列の後に並ぶことにした。
船の中は人で溢れていて、2等船室はびっしりと人が詰まっている。しかたがないのでロビーの椅子に坐っていることにした。
船は定刻に稚内を出航した。厚い雲が垂れ込めていて、稚内の後ろの丘陵も霞んでいた。天気予報は晴れなのに、今回も雲の中を歩くことになるのかと心配になった。
ノサップ岬を回りこむと、行く手に利尻岳が見えてくるはずだが、どんよりとした雲で何も見えない。仕方がないので、ロビーで本を読んでいた。810分に鴛泊港に着いた。
観光客がどっと降りてバスに乗り込んで行く。
私はゆっくりと身支度をして、地図で方向を確認して歩き始めた。
街の中はけっこうわかりにくいのだ。
街から外れて一本道を歩いて行くと利尻山神社があって、その先に温泉施設があった。そのすぐ先に甘露水ハイキングコースの入口があった。これが登山口なのかと悩んだが、甘露水に着けるのなら大丈夫だろうと、この道を行くことにした。
深い樹林の中に広いしっかりした道が続いている。ほとんど平坦な道であるが時々急な登りになったりする。登山口から35分ほどで甘露水との分岐に着いた。まっすぐ行くと利尻岳の登山道なのだが、私は甘露水で水を補給しなければいけない。この分岐には東屋がたっていた。昔、私が利尻に登ったときは、この東屋で寝たのだ。でも、新しいので建て替えたのだろう。少し先に甘露水がある。日本最北端の名水である。この水を汲んで4リットルの水を運び上げる。ザックはどっしりと重くなったが、これだけあったら炊事で苦労することはないだろう。



 甘露水から六合目へ
乙女橋を渡る


山の稜線が見えた


針葉樹林がようやく終わった

見上げると長官山


六合目に着いた


4kgも増えたザックを担いで、いよいよ出発。さっきの分岐のすぐ先には姫沼への指導標がたっていたが、この沼に寄るのはパス。
まず木橋を渡る。橋の名は乙女橋というのだ。どんな由来なんだろう。
トドマツやエゾマツの林の中を登って行く。30分ほど登って林の中の平坦地に着くと、そこが4合目であった。甘露水が3合目だったので、このペースで行くと、小屋のある8合目にまでは2時間かかるということなのだが、この先は傾斜がきつくなるだろうから、そんなペースでは行けないだろうと思ってしまう。
針葉樹の中を登って行く。道はけっこうえぐれていて、そこには岩がゴロゴロしておて歩きにくい。4合目から15分ほど登ると樹林から抜け出して、笹薮の間を登るようになった。振り返るとポン山が見えた。
このまま展望の尾根を登るのかと思ったら、そんなに甘くはなくて、すぐにまた樹林の中に入ってしまうのだ。トドマツやエゾマツのような背の高い林は終わったようで潅木のトンネルを抜けて行くのだ。4合目から37分登ったところで樹木のトンネルから抜けて5合目に着いた。背の高い笹に囲まれた小さな広場である。空はすっかり晴れて青空が広がっている。でも、下は雲がかかって街や海はよく見えなかった。
この先は潅木のトンネルから出たり入ったりを繰り返す。傾斜は思ったよりはきつくないので助かった。樹林から抜け出すたびに視界が広がって、いつのまにか下の雲が晴れて、礼文島が見えるようになっていた。登山道を振り返ると、下にはポン山が見えて、その後に鴛泊の街が少しだけ見えた。登るにつれて鴛泊の全体が見えるようになってくるのだ。登っている尾根の右にも緩やかな尾根が見える。これが下山路の沓形コースなのだ。ちなみに私が今登っているのは北稜コースである。
登山道はハイマツに覆われるようになって、これを掻き分けながら登って行く。それでも、時々潅木のトンネルに入ったりを繰り返すのだ。
ハイマツの背はけっこう高くて、頭上は開けているのに展望は意外とない。登りの途中に大きな岩があって、この上に乗ると鴛泊がきれいに見えた。
火山の軽石のような岩礫の平坦地に着くと、そこが6合目であった。5合目からは45分かかった。3〜4合目が30分で、4〜5合目が37分、そして5〜6合目が45分である。だんだん時間がかかるようになっている。傾斜がきつくなってきているのだ。
6合目から振り仰ぐと、遥かな高みに三角のピークが見える。これが長官山なのだ。長官山までの山の斜面はハイマツにびっしりと覆われていて、ハイマツ絨毯の中に登山道が細く続いている。



 六合目から長官山へ
六合目からはハイマツの間を登る


標高940mの標識


長官山への登り


長官山から利尻岳


長官山を振り返る


避難小屋

ハイマツの間をあえぎながら登って行く。でも、振り返ると真っ青な海、海には礼文島が浮かんでいる、このすばらしい眺めに元気づけられながら登って行くのだ。そして登山道には花が見られるようになった。私は花の名前に疎いので、名前を挙げて説明することはできないのだが、ともかくきれいである。再び潅木のトンネルに入ると、大きなザックにこの木の枝がひっかかって何度も転びそうになった。
潅木のトンネルから抜け出したところには7合目の標識があった。6合目から30分で来ることができた。
再び潅木の林に入って急な道を登って行くと、すぐに「標高940m山頂まで2590m」の指導標があった。利尻岳の標高は1790mだから山頂まではまだ半分しか登っていないのだ。
傾斜はさらにきつくなって、ハイマツの間の道は岩がゴロゴロしている。この岩を踏んで登って行くと展望が開けて、行く手に長官山のピークが迫ってくる。そしてこの頃から下山してくる登山者と頻繁にすれ違うようになった。
利尻登山は一般的には、前泊して夜明けと同時に登り始めるのだ。私のようにわざわざ小屋に泊まろうとする登山者はほとんどいないのだ。私は小屋が満員になったらどうしようと心配していたのだが、それは杞憂だったようだ。ツアー登山もこの前泊があたりまえなのだ。
7合目から8合目の長官山山頂までは遠かった。登っても登っても山頂に着かない。ハイマツの中を登って、傾斜が緩まって山頂かと思うのだが、それは何度も裏切られるのだ。この登りは本当にバテてしまった。天気は快晴で、太陽がガンガンに照りつける。傾斜は益々きつくなる。あえぎあえぎ登って行く。結局、7合目から8合目の間は1時間もかかってしまった。ようやく平坦地に着いて、そこに長官山の標識を見たときは、本当にほっとした。
ザックを放り投げるように肩から下ろして、まず水を飲む。汲んできた甘露水はまだ冷たくて、名前の通り甘露であった。
長官山からは利尻岳の眺めが本当にすばらしいのだ。時々雲がかかったりするが、端正な鋭い三角形で、青空のもと、すっくと聳えている。その急角度に落ち込む尾根には岩塔がいくつも見えて、いかにも険しい山である。
ここらは礼文島がよく見える。そして、登山道を振り返ると、ポン山に隠れていた鴛泊の街の全体が見えるようになっていた。
長官山からは少し登って、それから下った鞍部に小屋があるはずなので、のんびりすることにした。日が照りつけるので、雨傘をさすことにした。これはけっこう涼しいのだ。女の人が日傘を指す理由がよくわかった。
長官山には1時間以上もいて、利尻岳を見上げたり、真っ青な海を眺めたりしていた。
1415分、思い腰をあげて小屋に向かった。緩やかに登ってピークを越すと下に小屋が見えた。20分ほどで小屋に着いて、中に落ちついた。
酒を飲んでうつらうつらしていたら、登山者一人やってきて、この人と私だけが小屋泊まりであった。



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