ヤクスギランド前に着いたのは8時半である。
駐車場があって、遊歩道の入口がある。ヤクスギランドは有料で300円なのだ。ところがまだ朝早いために遊歩道入口の受付には人がいない。しかたがないので、そのままお金を払わずに入ってしまった。帰りに払ったらいいだろうと思う。
ヤクスギランドのパンフレットは本当はこの受付で入場券とともにもらうのだが、私はなぜかそれを持っているのだ。屋久島に着いて最初に訪れた「自然体験センター」にこのパンフレットが置かれていたのを貰ってきていたのだ。
このパンフレットに書かれた案内図に従って遊歩道を歩いてゆく。
ヤクスギランドの遊歩道は30分コース・40分コース・80分コース・150分コースという4つのコースが設けられている。私は太忠岳を目指すので、150分コースを行くことになる。
入口からはまず「ときめきの径」というよく整備された遊歩道を行く。
この途中には屋久杉の伐採跡が見られる。古代より屋久杉は信仰の対象とされて伐採されることはなかったのだが、島津氏が屋久島を支配するようになって大規模な伐採が行われるようになったのだ。安土桃山建築にはこの屋久杉が重宝され、島津氏は屋久杉を年貢としても定めている。このため、幕末までの間、屋久杉の5〜7割が伐採されたといわれている。
その後、大規模な伐採が行われたのは、太平洋戦争後の復興期である。チェーンソーが導入され、経済成長のために伐採が繰り返されたのだ。自然保護の声が高まったのは昭和40年以降である。
「くぐり栂」という古木をくぐって、林泉橋をわたる。そうすると、右に千年杉の入口があった。私は屋久杉をたくさんみたいと思っているので、もちろん寄り道をすることにした。階段を下って千年杉の前に出る。まっすぐに聳え立つ杉で、苔がむしている。
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