天狗の蹴上げ岩を左に回り込んで、岩壁の隙間を通り抜ける。その先にもちょっとした岩場があって、これを越えると大きな岩がゴロゴロする急な道になる。この急斜面を登り詰めて行くと尾根筋が見えてきた。でも、この尾根の上に登るのも鎖をたぐらなければいけなかった。やっと尾根の上に着くと、八合目の標識があった。
尾根道は傾斜が緩まるかと思ったら、露岩の急登で、すぐに岩の上に「八合目」と刻まれた石標があるのを見つけた。
岩尾根の左側をトラバースして行く。それにしても山側は岩壁で、いかにもすごい山である。トラバースを終えて尾根筋に出ると、小さな広場がある。山火事注意の標識以外にはなにもない。でも、この先の岩場をひと登りすると、露岩のピークに着いて、行く手にはすさまじい岩山が見えた。これが岩櫃山山頂なのだ。山頂には鉄梯子とさらに2本の鎖が下がっているのが見える。あれに登るのかと思うと、顔がひきつってしまう。
山頂に向かっては、まずこの露岩のピークから鎖にすがって急降下しなければいけない。鎖場の下には梯子があって、これを慎重に下ると、ようやく尾根に降り着く。
その先も大変であった。岩壁をトラバースするのである。この道が細くて、ザックを岩にぶつけてしまいそうで、すごく怖かった。痩せた尾根を通過すると、赤岩通りとの分岐があった。ここからいよいよ山頂に向かって岩場を登るのだ。
まず鉄梯子を上って、それから鎖場になる。ウソだろうと叫びたくなるようなすさまじい絶壁を鎖にすがって登るのだ。2本の鎖にすがって、絶壁を登り終えると山頂であった。振り返ると、さっきの岩峰がすさまじい様で聳えたっている。その上には登山者が休憩しているのが見える。
山頂はすごく狭いとガイドブックに書いてあったがそれほどでもなくて、小さな広場になっている。方位盤があるので、周囲の山々を展望した。草津白根山が見える。谷川岳の方向は雨が降っているように霞んでいた。遠くに妙義山がゴジラの背びれのような姿で聳えているのが見えた。今朝登った嵩山も見える。うれしくなってしまった。
山頂でパンをかじって休憩して、景色を十分に楽しんで下山した。
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