らうすだけ

標高 1660m
木下小屋→1:20→弥三吉水→40分→銀冷水→50分→羅臼平→50分→羅臼岳山頂→30分→羅臼平→30分→三ツ峰キャンプ場→1:00→オッカパケ岳→10分→二ツ池キャンプ場

羅臼岳・硫黄岳には何度か登ったことがあるのだが、この間の縦走をしたことがない。途中でテントを張らなければいけないのだが、熊が怖くてやっていなかったのだ。でも今回、悲壮な決意で縦走を断行することにした。
羅臼岳

1991年羅臼岳登山
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2006年7
17日(月)

斜里岳から知床に向かって車を走らせる。オホーツクの真っ青な海を左にみて車を走らせるのはすばらしく気持がいい。
途中にオシンコシンの滝があって、見ていこうと思ったら車がいっぱい、あきらめて道端から写真だけ撮った。
羅臼の町に入って、観光案内所に立ち寄った。
羅臼岳から硫黄山まで縦走するつもりなので、車は羅臼岳登山口に置いてゆくことになる。硫黄山からはカムイワッカの滝に下山するので、カムイワッカから放置した車までのバスの時間を知りたかったのだ。ところが、硫黄山〜カムイワッカの滝の登山道は通行禁止になっていた。困った。これでは硫黄山登山ができなくなってしまう。
私は今回の登山旅行で北海道の登山は終了させるつもりでいるのだが、硫黄山が残ってしまう。
手段は一つしかない。羅臼岳から硫黄山に縦走して、それからまた羅臼岳まで引き返すのだ。すごい労力になる。でも、それしか方法がない。
やるしかない。

観光案内所で外来で入れる夕日台温泉を教えてもらった。でもこの温泉の営業は14時からなので、1時間ほど待たなければいけない。そこで温泉の駐車場に椅子・テーブルを出して、ラーメンをつくって食べた。
2時から1時間ほど温泉に入って、それから「知床自然センター」に行った。ここでは大スクリーンに映し出される「知床の四季」という映画をみた。よかった。
さて、羅臼岳の登山口に向かう。
登山口は岩尾別温泉で、ここには「ホテル地の涯」がある。地の涯、すごい名前のホテルではないか。
ホテルの前にバスの停留場があって、そこに駐車スペースがある。今夜はここに車を停めて寝た。

718日(火)

今日はいよいよ羅臼岳に登のだ。ところが残念なことに天気がよくない。
出発は515分である。普段に比べたらかなり早い時間である。張りきっているのだ。
ホテルの右の道を緩やかに登って右折すると、そこに木下小屋があった。
ここで登山届けを出して、いよいよ登山開始。
登山道に入ってすぐのところに祠がおかれていたので、手を合わせて安全登山を祈った。今回の登山で心配なのは羆なのだ。知床は羆の生息地で、その中でテントを張らなければいけないのだ。真剣に祈った。
樹林の中を45分ほど登ると、「オホーツク展望台」に着く。展望台なので、すばらしい眺めを期待したが、樹林のあいだから少しだけ下の山並みが見えるだけであった。ここにあった指導標には「山頂まで5.9km」とかかれていた。
このオホーツク展望台から傾斜は緩やかになる。樹林の中の尾根道を緩やかに登って行くと、今度は「熊注意」の看板がたっていた。この案内板のところから、熊が出没したすい箇所なのだそうだ。でも、登山者が多いので、気持ちはラクである。
弥三吉水に着いたのは715分。ここでは水が豊富に流れている。少し休憩した。この弥三吉水から山頂までは4.3km、山頂まではまだまだ遠い。
ここから急な登りになって、これを越えると極楽平につく。しばらく平坦な道を行くのだが、再び仙人坂で急登になった。仙人坂から山頂まで3kmである。時間的にはここが中間点といったところだ。
二つ目の水場「銀冷水」に着いたのは、弥三吉水から1時間ほど登った頃である。ここの水は流水である。北海道ではエキノコックスに感染する恐れがあるので、できるだけ流水は飲まないようにしている。
羽衣峠を越えると左手に雪渓が見えてきた。この雪渓に沿って登って行くのだが、やがて登山道はこの雪渓と合流する。この雪渓の入口が「大沢口」で山頂まではあと2kmである。
15年ほど前に登ったときも、羅臼平前に長い雪渓があったことが強く印象に残っている。
ともかくこの雪渓を登って行く。ザックにはこのために軽アイゼンを入れてきたのだ。軽アイゼンはよく効いた。途中にはかなり急な箇所もあったが、このアイゼンのおかげでラクな気持ちで乗り越えることができた。
雪渓を20分ほどで登り終えると、それから道は緩やかになって、羅臼平に着く。完全に霧の中であった。本当はここから羅臼岳を間近に仰ぎ見ることができるのだが。
羅臼平は風が強かった。木下弥三吉の記念碑がたっていたので、この陰で休憩した。
硫黄山への縦走路はここで分岐するので、羅臼岳に登ったあと、ここまで引き返さなければいけない。そこで、ザックはここにおいて羅臼岳を往復することにした。
濃い霧の中を歩いて行くと、道の横に金属の大きな箱がた置かれていた。これがフードロッカーで、熊に人間の食料の味を覚えさせないためにこのようなボックスが設けられているのだ。
這い松の中のほとんど平らな道を行く。ジグザグの道を緩やかに登ると岩清水の前に着いた。崖から水が滴っているのだ。この滴る水をコップで飲んだ。うまかった。

ここから山頂までは本格的な急登が始まる。巨岩が累々とする中を登って行く急峻な道なのだが、道端には高山植物の可憐な花がたくさん咲いている。これに慰められながら険しい道を登ってゆく。
山頂直下は本当に険しい岩場で、巨岩を乗り越えて登って行く。
霧の中に、巨岩が重なる山頂が浮かびあがる。やっと山頂にたどり着いたのは105分であった。山頂標識の下には小さなお地蔵様がおかれていた。
山頂はすごく狭いので、少し下ったところで、風を避けて休憩した。登山者が次々と上がってくる。さすがに日本百名山の山で、登山者が多いのだ。
羅臼平に引き返してザックを回収し、いよいよ硫黄山の縦走を開始した。
濃い霧の中を行く。今まではけっこう登山者が多かったのだが、この縦走路を行くのは私一人である。
地図では、まず三峰という山を目指しているのだが、霧で、どこをどう歩いているのかよくわからない。目の前に続く登山道を黙々と歩くだけである。かなり急な登りが続く。
でも、縦走路に入ってからは、お花畑がすばらしくきれいだ。霧の中で展望は望めないが、すぐ足元に広がる花々は十分満足させられるものである。
左手に絶壁が迫り、ようやくピークに着く。ここが三峰山頂なのかとも思うのだが、左手の岩場がもっと高いようだ。山頂標識を見ることなく、道は下りになった。
登山道はお花畑の中を行く。
下って行くと平らなところに出て、ここが三峰キャンプ指定地である。テントが張れる整地されたところがいくつかあった。ここにもフードロッカーが設けられている。
道は再び登りになって、目指すのはサシルイ岳である。上りついたところには石を積み上げたケルンがあったが山頂の標識はない。さらにゆるやかに登ってゆくと、指導標がたっていてオッカパケ岳の方向を示していた。どうもここがサシルイ岳の山頂のようである。ただ、ここからもう少し高いところが見えるのだが、踏み跡がない。登山道は山頂は通らないのだ。
下る。霧の中、視界を閉ざされた中を下ってゆくと、雪渓が現れた。登山道はこの雪渓を下るのだ。視界のきかない中で、雪渓を下るのはひどく神経を使う。踏み跡がかすかで、この道でいいのか心配になるのだ。軽アイゼンを出そうかとも思ったが、目の前の雪渓を下るのに夢中で、そんな余裕がなかった。雪渓は二段になっていて、ようやく終わったと思ったのに再び雪渓になったのにはカッカリしてしまった。
なんとか雪渓が終わって、その先にはちゃんと登山道が続いている。よかった。
道は這い松の中に入って、左に曲がる。
何かしら、山腹をぐるりと迂回しているような感じだ。
お花畑の広がる草原に出た。霧の中のお花畑を一人歩いて行く。晴れていたらすばらしいのだろうと思う。
道は再び登りになった。オッカパケ岳への登りである。霧の中をひたすら登る。
ようやく登り着いたピークには二つ池を示す指導標が立っていた。もしかしたら、この縦走路の指導標は、山頂の名前ではなく、そのピークに着くと、次の目標を示すようになっているのかもしれない。前の指導標がオッカパケ岳で、そのオッカパケ岳に着くと、そこには次の目標となる二つ池が示されているという具合である。
なにはともあれ、霧の中で何も見えないのだから、ひたすら道を辿るだけである。
ようやく二つ池のキャンプ地に着いたのは2時少し前であった。
時間は早いのだが、ここにテントを張ってしまうのだ。キャンプ地のすぐ傍に池が広がっている。霧のおおわれているのだが、ひっそりと水面が広がっていて幻想的である。
ともかくテントを張って、中に落ち着いた。
熊が怖いので、ひたすらラジオを鳴らし続けた。
失敗したことがある。小説を持ってこなかったことである。食事を終えたらあとはすることがないのだ。ラジオを聴きながらいつの間にか眠ってしまった。
目がさめたらもう6時になっていて、外に出てみたら霧が晴れて、池の向こうに山が見えた。南岳のようである。
それからが寝付けなくて困った。ラジオは一晩中鳴らし続けて、ついその深夜放送を聴き続けることになった。


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ホテル地の涯


木下小屋


登山口には新しい祠があった


オホーツク展望台。山頂まで5.9km


弥三吉水


極楽平、山頂まで4.0km


大沢入口、ここから雪渓を登る


霧の中、雪渓を登る


羅臼平の木下弥三吉記念碑


熊対策のフードロッカー


岩清水、山頂まで600m


山頂へは岩場を登る


羅臼岳山頂


三つ峰山頂近く


このあたりがサシイル岳山頂


お花畑の草原を行く


雪渓を下る(帰りの晴れたときの写真)


二つ池にテントを張った






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