2008年夏・北海道登山旅行
ぴっぷだけ

標高 2197m
愛山渓登山口→25分→松仙園沼分岐→40分→昇天の滝→30分→沼の平分岐→1:10→銀明水手前の休憩所→40分→永山岳→35分→安足間岳分岐→10分→愛別岳分岐→8分→比布岳山頂

昔、愛別岳には登ったことがあるのだが、もう一度登ることにした。でも、比布岳山頂直前から鞍部に下る道はすさまじく急峻で滑りやすくて断念した。でも、比布岳までの登山道から眺める沼ノ平の眺めは本当にすばらしいのだ。
稜線から比布岳

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2008713

明日は愛別岳に登るつもりだ。この山には昔、釧路に住んでいたときに登ったことがあるのだが、ほとんど忘れてしまったので、もう一度登ってみることにした。
登山口は愛山渓温泉にある。旭川のスーパー銭湯でのんびりして、夕方になってから愛山渓温泉に向かった。けっこう遠くて、35kmほども走らなければいけないのだ。国道から温泉に向かう細い林道に入る頃には真っ暗になって、ヘッドライトに照らされる急な林道を走って行く。温泉旅館の明かりが見えてきて、その手前に駐車場があった。
1台だけ車が停まっていたが、私もここに停めて寝た。


714

今日は往復で8時間も歩かなければいけないので、早く出発することにした。
天気予報では午前の降水確率が10%で午後からは50%、空はどんよりと曇っている。午前中なら展望が期待できると思っていたのだが…。
450分に歩き始めた。温泉旅館の前の広場から山に向かって伸びる林道が登山道なのだが、入口は鎖で閉鎖されていて車は入れないのだ。
このすぐ先に登山届けのポストがあって、そこは松仙園沼との分岐にもなっている。でも、松仙園沼への道は当分閉鎖すると書いてあった。熊でも出るのかもしれない。私は帰りは松仙園沼を経由してここに戻ってくるつもりだったが、それはできなくなった。
ダケカンバの林の中を歩いて行く。ほとんど平坦な道である。25分ほどゆくと渓流にぶつかって、これを鉄の橋で渡る。橋を渡ったところには指導標がたっていて、ここが沼ノ平との分岐であった。松仙園沼は通行できないので沼ノ平を通って帰ってくるつもりである。
この先、傾斜はきつくなって、岩がゴロゴロする歩きにくい道を登って行く。道にはトドマツの巨木が生えていたりして、北海道の山といった感じである。
道がぬかるんできて木道を歩いたりしてゆくと、流れにまたぶつかった。この渓流を渡ってからは流れに沿って登って行く。行く手には稜線が見えてきて、谷筋には雪渓が見える。あの稜線まで登らなければいけないのだ。
ウコンウツギの黄色い花を眺めながら、沢沿いに登って行くと上流に滝が見えてきた。これが昇天の滝である。登って行くにつれて滝が近づいてくる。滝の落ち口が二つになっていて、それが滝の中ほどで合流している。いい滝である。
登山道はこの滝の横を通るのかと思っていたらそうではなかった。右から沢が合流してきて、登山道は滝の流れではなく、こっちの沢を遡って行くのだ。この沢の右側につけられた登山道はすごい急で、樹木を掻き分けながら登って行く。樹木には露がびっしりとついていて、すぐにズボンがビショ濡れになってしまった。
行く手に再び滝が見えてきた。樹木がジャマをして滝の全体を見ることはできないのだが、それでも一直線に流れ落ちる豪快な滝である。これが村雨の滝なのだ。登山道はこの滝のすぐ右を登って行くのだ。ロープが下がる急な岩場を登って行く。きつい登りである。振り返ると流れが深い谷をつくって一直線に下って行くのが見えた。
ようやく滝の上部に登り着くと、すぐにこの流れを左に渡る。橋なんてないので、流れに置かれた岩を渡るのだが、もう少しで落ちそうになった。私はすごくバランスが悪いのだ。
流れを右下に見て急な道を登って行くと5分ほどで分岐があった。沼ノ平方向への分岐である。私は左の道をとって愛別岳を目指す。笹が高く茂る中の急な道を登って行くのだが、道には岩がごろごろしていて歩きにくい。15分ほどで尾根の上に出て視界が広がった。
振り返ると緑の広がりの中に無数の池塘が見える。これが沼ノ平なのである。すばらしい眺めである。朝はどんよりと曇っていたのだが、展望はしっかりと見える。うれしくなってしまった。
登山道は尾根の少し左下を行くので、尾根の向こうの景色はみえない。早く尾根の上に出て沼の平の全体を眺めて見たいと思って、つい足が速まってしまう。
登るにつれて展望は広がってきて、池塘群がはっきりと眺められるようになった。
笹藪からハイマツの中の登りになったが、道には岩がゴロゴロしていてあいかわらず厳しい登りが続く。
尾根の上に出ると、行く手の展望も広がって、横広がりに3つの山が眺めやれる。真ん中のピークは永山岳で、左に吊り尾根が延びてその先端のピークが愛別岳のようである。右に伸びる稜線には岩のギザギザが見える。これが安足間岳のようだ。すごい眺めである。
傾斜が緩まると尾根は広くなって、お花畑が広がる。花を眺め、これから登る山々を眺め、そして下に広がる沼ノ平の地塘を眺め、すごく楽しい登山である。広い尾根を緩やかに登って行くと、ベンチが置かれた平坦地に着いた。歩き始めてもう3時間近くなるので、ここで休憩することにした。
すぐ近くに雪渓もあって、その上には安足間岳の岩峰の連なっている。このすばらしい展望の中でパンをかじっていたら下から霧が這い上がってきて、あっという間に沼ノ平は霧に隠されてしまった。
お花畑の中を登って行く。一面にチングルマの白い花が咲き乱れていて、そのなかにエゾカンゾウのオレンジの花も見える。5分ほど登ると小さな流れがあって、そこには「銀明水」という標識がたっていた。きれいな水が流れているのだが、私は流水を飲もうとは思わない。北海道には狐が媒介するエキノコックスという恐ろしい病気があるのだ。
きれいなお花畑の中を緩やかに登って行く。赤いエゾコザクラや小さな白いイワヒゲの群落、なんてすばらしい山なんだと思ってしまうのだ。20分ほどお花畑の中を登ると、傾斜はきつくなってザクザクの岩礫の登りになった。霧が湧き出してきて行く手は真っ白になってしまい、霧の中の急登が続く。
霧の中に巨岩が重なるピークが見えてきて、その右を捲いて稜線に出て振り返るとこの巨岩が永山岳山頂であった。825分であった。山頂には山名の標柱がたっていて、二つのベンチが置かれていた。
記念写真を撮って先を急ぐ。永山岳は尾根の途中に少しだけ突き出たところといった感じで、この先もそのまま登りが続くのだ。
赤茶けた裸地の斜面を急登する。ようやく霧が晴れて視界が広がると、左側は断崖絶壁の大崩落地になっていて、その中に白い雪渓も見える。
行く手上方の霧が晴れると、すごい三角峰が高く聳えていた。これを登るのかと思うとため息が出てしまうほどの急峻な登りが続いている。赤い砂礫の急斜面をひたすら登り続ける。所々に花が群落をつくっていてその可憐な花々に癒される。永山岳から
30分ほどあえぎながら登ってようやく稜線にたどり着いた。
ここに立つ指導標には、右が当麻岳、左が比布岳となっている。まず比布岳に登ってから愛別岳を往復して、それからここに戻って当麻岳、沼ノ平へと下ろうと思う。
指導標に従って稜線を左に辿ると、…絶壁であった。霧が湧き上ってきているので視界がきかないのだが、まさかこの断崖を下るのか…と思ってしまう。
もう一度、この稜線を詳しく眺めてみたら、稜線の右に踏み跡があった。固まった砂地なので踏み跡がはっきりしなかったのだ。
この踏み跡を辿る。道はしっかりしていてまったく危ないところはない。でも、この稜線の左は断崖絶壁なのだ。覗き込んでみたら足が震えた。
稜線をたどって行くと霧が晴れてきて、比布岳の大きな山稜が見えるようになった。
砂地の痩せた稜線を行くと、愛別岳分岐の標識があった。その分岐から愛別岳への道は砂地の急斜面を、トラバースするように急降下するのだ。いかにも危険そうである。一時、この道は通行止めになっていたのだ。すぐに崩れそうな砂地の上につけられた踏み跡がマッサカサマに霧の中に下っていっている。これを見て、愛別岳登山はあきらめることにした。私は根性なしなのだ。これで、まだ晴れていたら登る気になるかもしれないが、視界のきかない霧の中をこんな砂地の崩れやすい道を下ろうとは思わない。ともかく、あきらめた。
この分岐から比布岳を目指して登って行く。
その途中で湧き上る霧の間から愛別岳が浮かび出た。するどく尖った三角峰で、15年前、よくこんな山に登ったものだと思ってしまった。感慨に浸るひまもなく、あっという間に愛別岳は霧の中に隠れてしまった。
すぐに比布岳山頂に着いた。915分であった。山頂は広くて、山名の標柱と指導標がたっている。
ここで長めの休憩。休んでいると登ってきた方向の霧が晴れて、安足間岳の平坦な山頂が見えるようになった。その左側には白い雪渓が見える。完全に晴れていたらすばらしい眺めなんだろうと思う。

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愛山渓温泉


松仙園沼との分岐


鉄の橋を渡る


美しい渓流に沿って行く


昇天の滝の手前で右の沢に入る


ポンアタロマ川を振り返る


滝の上部で渡渉する


岩の道を登る


休憩所があった


永山岳への登り


霧の中を急登する


永山岳山頂


尾根の左は断崖であった


岩のゴロゴロする道を登る


安足間岳分岐に着いた


愛別岳分岐


比布岳山頂





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