山頂からの眺めは本当にすばらしい。今日は曇りのはずがきれいに晴れていて、遠くの山々まで見えるのだ。
ガイドブックの地図で周りの山を確認しようとした。ところが、どうも地図と目の前の山の配置があわない。目指す帳付山は私が登ってきた方向にあることになっているのだ。
ガイドブックには「大山をあとにしたら、県境尾根から派生した尾根を登って…」と書いてあるので、私はこの大山からさらに進んで行くのだと思っていたのだ。でも、よく地図を見ると、大山は縦走路から外れていて、往復するようになっているではないか。引き返さなければいけないのだということに気がついた。さっきの天丸山との分岐に戻って、その天丸山の方へ向かわなければいけないのだ。ガイドブックには一言、引き返すと書いてくれたらわかりやすいのに…。あの岩場を下るのかと思ったら、足がふるえた。
そうして改めて景色を眺めると、西側の尾根の途中に鋭くそびえ立つ岩峰が天丸山だということがわかる。そしてその奥の左に聳えるのが目指す帳付山である。すごく遠いではないか。南のすぐ正面に聳える緩やかな三角峰は、これから越えて行く倉門山である。
東には奇峰が連なっているのだが、叶山や二子山ではないかと思う。
ため息がでるようなすばらしい展望を楽しんで、それから登ってきた道を引き返した。岩場の下りはすごく怖かった。
樹林に入って道をたどると、登りでみた分岐に戻ることなく天丸山への道になった。本当にこの道で帳付山に行けるのか心配だったのだが、天丸山・帳付山という指導標を見つけてほっとした。
深い林の中を急登して樹林のピークに出ると、木の幹に倉門山と書かれた小さなカードがつけられていた。
林の中を10分ほど下ると天丸山との分岐があった。ここから天丸山に登れるようで、道はしっかりしている。行ってみようかとも思ったが、危険なことは止めることにした。私はすごく臆病なのだ。
分岐からはすごく急な下りであった。ようやく緩やかな尾根道になって、これを5分ほど行くと鞍部に着いたが、そこに標識はなかった。めざす「馬道のコル」はまだ先のようだ。目の前には岩がゴツゴツした登りが待ちかまえている。これを越えるのかと思ったら、少し登って左に捲いてしまうのだ。よかった。
林の中の痩せた尾根を歩いて行く。時々きれいな紅葉も見ることができて、気持ちのいい尾根歩きである。
天丸山分岐から15分弱で馬道のコルに着いた。ここから帳付山を往復するのだ。
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