山頂から下って分岐に戻る。
そこからはロープが張られた急なトラバース道である。トラバース道から尾根の上に登り着くと、あとは尾根の上を行くのだ。でも、すぐに岩塔が行く手を遮る。これをロープにすがって右から回り込んで登って行く。ピークに着くと、四ツ又山と同じような神像がたっていた。
灌木の中を急下降する。行く手には鹿岳のツインタワーがすごい。ロープにすがって二つ目の岩峰に登り着くと、そこには石の祠が置かれていた。ここからも鹿岳と妙義山の眺めがすばらしい。
ピークからはひたすら急下降が続く。四ツ又山と鹿岳の間の鞍部はすごい標高差があるのだ。樹林の中をロープにすがって急下降する。下っても下っても、下が見えない。こんなに下ってしまっていいのかと思うくらい下ると、ようやく下に草地の鞍部が見えてきた。ここでは沢を登ってきた道と合流する。この道を下っても登山口に戻れるのだ。行く手に聳えるすさまじく険しい鹿岳を見ると、山頂はあきらめて、ここから下ってしまいたくなる。四ツ又山からこの鞍部までは45分もかかってしまった。
ここから少し行くと伐採地跡があって、その先は杉林を登って行く。ロープの下がる急な道を登ってピークに着くと、三角点のような石標が一つだけ置かれていた。ここから眺めると一ノ岳、二ノ岳がさらに近づいて大きく聳えたっている。
急な道を下って尾根に降り着くと、あとは緑の自然林の中を歩いて行く。快適な尾根歩きだと思っていたら、行く手には巨大な一ノ岳の絶壁が立ちふさがる。岩壁の基部に着くと、この下をトラバースして行くのだ。絶壁を右から回り込むと、巨岩が重なる岩場である。これを越えると道は左折して、大岩壁の間の溝を急登する。ロープにすがってようやく尾根の上に着く。
この尾根を右に行くと二ノ岳で左が一ノ岳なのだ。まず一ノ岳を目指す。痩せた岩尾根を少し行くと、木でつくられた梯子があった。この手前に下高原の登山口に下る道があった。この分岐にステッキを置いて、一ノ岳への登攀を開始した。すごく急な岩場の登りなのだが、ロープや鎖はいっさいなかった。ステッキを置いてきたのは正解で、両手フル稼働で、木の根や岩をつかんで登って行く。半分ほど登ると、傾斜は少し緩まる。振り返ると二ノ岳が見えた。さらに岩場を登ってようやく山頂に着く。山頂の大きな岩の上には「摩利支天」と刻まれた石碑がたっていた。この山頂からの眺めもすばらしくて、特に隣に聳える二ノ岳が圧倒的な迫力である。
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