宇奈月駅からトロッコ列車の黒部峡谷鉄道駅までは300mほど歩かなければいけない。駅に着くと、すでにたくさんの観光客が行列をしていた。7時5分の便があると思ったら、これは工事関係者のためのもので、一般の人は乗ることはできないのだ。
切符を買うとき、特別客車・リラックス客車・パノラマ客車の3つのランクがあるのを知った。私は貧乏人なので一番安い切符にしたのだが、これが正解であった。いわゆるトロッコ列車は一番安い普通客車がそうなのだ。わざわざ特別料金を払って、一般的な車両に乗っても面白くないではなか。
トロッコ列車を牽く機関車はすごくかわいらしくて、写真をたくさん撮ってしまった。
トロッコ列車は座席指定なのかと思ったら、車両だけが指定されるのだ。座席はベンチシートで、それが10列くらいある。私は車両の一番先頭のシートと2番目のシートを占領した。一番目のシートにはザックをおかなければいけなかったのだ。
宇奈月温泉を出発するとすぐにトンネルに入って、それを抜けると新山彦橋という鉄橋を渡る。トロッコから下を見下ろすと、怖いような高度感である。すぐに宇奈月ダムが見えてきて、ダム湖が広がる。ダム湖をみながら峡谷を遡って行くと、アナウンスで下に仏岩が見えるという。赤い涎掛けがつけられた岩塔が見えた。
ダム湖を眺めながら行くと西洋のお城のような建物があったが、これは新柳河原発電所の施設なのだ。
列車は黒薙駅に着く。ここには黒薙温泉があって、温泉旅館もあるのだ。
駅を出発すると高さ60mの後曳橋を渡る。沿線中で最も高い橋で、すごい高度感である。
すぐに出し平ダムが見えてきて、対岸には「ねずみ返しの岩壁」という高さ200mの大絶壁が見える。さすがに黒部峡谷である。この鉄道からはよく見えないのだが、峡谷の右に聳える山は毛勝山や僧ヶ岳で2000m級の山が連なっているのだ。さらに本当に釣鐘のような形の東鐘釣山が見えてきた。山頂部は丸いのだが、下は絶壁になっている。すごい山である。
トンネルと抜けると鐘釣橋を渡って鐘釣駅に着く。ここには鐘釣温泉があって、かなり大きな駅になっている。けっこう下車する人も多いみたいなのだ。このあたりは錦繍関という紅葉の名所なのだそうだが、今は緑の樹林である。対岸には万年雪が残っていた。
ここまでは黒部川の右岸を走ってきたのだが、この先は左岸を走って行く。席を左側に移した。黒部川第二発電所を過ぎると小屋平駅で、ここからは間近に奥釣鐘山を望むことができる。本当に釣鐘のような形をしていて、すさまじい絶壁をもってそびえている。
小屋平の小屋平ダムを過ぎると、終点の欅平駅はすぐである。
NEXT 欅平から阿曾原へ
BACK 鉄道の旅
|