中禅寺薬師堂→塩野神社→龍光院→塩田城址→前山寺(三重塔)→信濃デッサン館

私は30歳のころ松本に5年間住んだのだが、その時塩田平を散策したことがある。前山寺の三重塔がすばらしくきれいで、機会があったらもう一度ゆっくり参拝したいと思っていた。今回、甲信越の山々を登る旅で近くまで来ることになったので、時間をさいて塩田平を散策することにした。信州の鎌倉といわれるだけにすばらしいところである。


 中禅寺薬師堂
公園のような参道を行く


薬師堂


神将像

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2008年10月7日

旧鎌倉街道に沿ってお寺や神社が点在している。中禅寺の薬師堂から前山寺三重の塔まで散策しようと思う。

中禅寺は独鈷山登山口から近いのだ。駐車場から歩いて行くと、この付近は公園のようによく整備されているのだ。まず本堂があった。信州のお寺らしい大きな茅葺きのような造りの屋根である。境内には池があって、その奥に弘法大師像がたっていた。
中禅寺は弘法大師が天長年間(82434)に雨乞いの祈祷をするために草庵を結んだのが始まりとされているのだ。
本堂を右に見て、少し行くと仁王門がある。名前の通り、門の両側には赤い仁王像がたっている。ずいぶん稚拙な造りだと思ったのだが、平安時代後期のもので、長野県の県宝に指定されているのだ。門には「中部四十九薬師霊場第三番札所」という看板がかかっていた。
仁王門をくぐった正面に建つのが薬師堂である。茅葺き屋根の三間四方のお堂で、すごく美しい建物なのだ。国の重要文化財である。お堂の中に入るとすばらしい薬師如来坐像が安置されていた。定朝様式の端正な仏像である。薬師の前には、両腕が失われた神将像が一体だけある。普通、薬師如来を守るのは十二神将なのだが、この一体だけしか残らなかったようだ。共に国の重要文化財である。



 塩野神社
広場の向こう鳥居


神社拝殿


中禅寺から少し行くと塩野神社がある。約
1000年前の延喜式にも登載されている古い神社で、武田信玄もここで武運長久を祈り、真田昌幸・信之も社領を寄進したというのだ。その寄進状が残っていて、上田市の文化財に指定されているのだ。
杉並木の参道を行くと広場があって、この先に石の鳥居がある。鳥居をくぐったら回廊がある…と思ったら、これは屋根がかかった橋なのだ。
この神橋を渡ると正面に本殿がある。驚いたことに、塩田神社の拝殿は他の神社とはまったく違う造りであった。「楼閣造り」という二階建てのすごく珍しい建物なのだ。
境内は杉の巨木が茂り、苔むした巨岩の中に小さな祠が祀られていたりする。本当に静寂に包まれた境内で、神域という感じがするのだ。



 龍光院 塩田城址
参道石段を上る


龍光院山門


本堂


次に訪ねたのが龍光院である。塩田北条氏二代の国時によって、父義政の菩提を弔うために建立された寺院である。義政は鎌倉幕府三代執権北条泰時の弟、重時の第
3子で、出家してこの塩田に閑居したのだ。塩田北条は三代五十余年この地で栄えたのだが、元弘3(1333)に新田義貞が鎌倉を攻めたとき、一族揃って応援に馳せ参じたのだが、結局滅びてしまったのだ。
黒門の前には巨木がそびえ立っていて、ここから細い石段の道を歩いて行く。緩やかな石段なのだが、かなり距離があった。でも、この参道の右には車道があって、車で本堂のすぐ近くまで行けるようになっていた。杉木立の右に白壁の塀が見えてくると本堂は近い。車道に出ると目の前に山門がある。正面に大きな屋根の本堂が建っている。これは江戸時代中期の再建で、屋根の上に見える三ツ鱗の紋は北条氏の紋所なのだ。
本堂の中には狩野永淋の六曲屏風が展示されていた。襖絵も立派なものであった。
境内の左上に観音堂が建っている。中にはほっそりとした観音様が安置されていた。
境内右に新しいお堂ができていた。羅漢堂で、中に入ると、正面に釈迦如来が祀られていて、周りにはたくさんの羅漢像が配置されている。すべて最近の作である。

境内を出て、前山寺に向かって歩いて行く。この遊歩道からは塩田平を一望できるのだった。
車道に出る直前に塩田城址の石碑があった。塩田北条氏三代が本拠とした城なのだが、ここからかなり山道を登らなければいけないようなので、通過してしまった。



 前山寺
前山寺黒門


薬医門


三重塔


ここから車道を行くと、右に黒い冠木門がある。真言宗前山寺という石柱がたっていた。

門をくぐったすぐ右に樹齢700年というすごいケヤキの巨木がたっていた。石畳の緩やかな参道を100mほど行くと山門がある。「薬医門」というのだ。
前山寺は弘仁年間(810824)に弘法大師が開き、のちに塩田北条氏の祈願所となり、真言宗の信濃四談林の一つとして栄えた古刹なのである。門をくぐると正面丘の上に三重塔が見える。室町時代初期の建立といわれ、高さは19.5m、国の重要文化財に指定されているきれいな塔である。二層・三層には回廊勾欄がないのが特徴で、長い胴貫が突き出ている。なにかしら、未完成の塔なのだが、それがまた美しくて「未完成の完成塔」とも呼ばれているのだ。見ていて本当に飽きることがない。何枚も写真を撮ってしまった。
この三重塔に目が釘付けになってしまうのだが、境内の左には茅葺きの造りの本堂がある。これも堂々としたすばらしい建物である。
参道を引き返して行くと、右にしゃれた煉瓦造りの建物があることに気がついた。信濃デッサン館で、ここは喫茶店にもなっているのだ。
塩田平の散策は大満足であった。


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