BACK 十勝幌尻岳
8月2日
今日の天気予報は曇りだったのだが、けっこう日差しがあったりする。
私は次の登山はポンヤオロマップと思っていたのだが、まず、コイカクシュサツナイ岳と1839峰を登ることにした。この中札内からコイカクシュサツナイの登山口はすぐなのだ。
さて、この山なのだが、私が今回の登山旅行で困難な山と思っているのが、先に登った1967m峰と、この1839m峰なのだ。山中に2泊しなければいけない。しかも水はないので、下から荷揚げなければいけない。
相当な覚悟が必要で、今日は静養してこの登山に備えることにした。
中札内の道の駅にいるのだが、ここはすごく便利で、目の前にスーパーと100円ショップの大きな店舗がある。食料や酒がすぐ調達できるのだ。
広い芝生があるので。そこに椅子・テーブルを出して、ビールを飲んだり本を読んだりしていた。
道の駅の中には中札内の開拓の記念施設がつくられている。吉田十四雄の「人間の土地」の一節が石碑になっていた。
「はい、まだ人間のものではござるませぬ。神様の土地やと思えば神様の土地、如来様のものと思えば如来様、獣のものと思えば獣のものでござるまする」
「はあてね?」
「木や草のものと思えば木や草のものでござるまする」
「なるほど…」
「人間が涙を流し、汗を流し、苦労に苦労を重ねて拓きまする。拓き上がって初めて人間の食うものがとれまする。そこで初めて人間の土地になるがでござるまする」
北海道十勝平野の開拓のことを考えさせられてしまうのだ。この他に、旧開拓農家住宅を移築した開拓記念館やビーンズ邸がある。
道の駅におかれた中札内観光案内板を見ると、すぐ近くに「中札内美術村」がある。これは行って見る価値はある。
ここには4つの美術館がまとまってあるのだ。
昔、釧路に住んでいたときだが、坂本直行美術館に来たことがある。そのときは坂本直行館しかなかったのが、今はこれを中心に美術館を4つも作ってしまったのだ。
まず、坂本直行記念館に行く。
クヌギの林の中には彫刻が点在していて、この散歩道を歩いて美術館巡りというのは、けっこう楽しいのだ。
坂本直行記念館は今は「北の大地美術館」というのだそうだ。ゆっくり解説を読んだら、この坂本直行という人は土佐の坂本竜馬の親戚なのだということを初めて知った。そして、この人は登山家でもあったのだ。
北海道には六花亭という有名なお菓子屋さんがあるのだが、その包装紙の花の絵が坂本直行の水彩画なのだ。彼は1906年の生まれで、北大農学部を卒業し、終戦後この十勝広尾町に開拓農民として入植して、酪農を営みながら十勝の自然や山・花を描き続けたのだ。北大では山岳部にいて日高の山をかなり登っている。ヤマヤの私としてはかなり親近感をもってしまうのだ。
相原求一朗美術館では北海道の名峰を描いた「北の十名山」を見ることができる。北海道登山に来ている私としてはすごく楽しかった。それと、印象的だったのは雪の幸福駅の油絵である。
この美術館の後には佐藤克教現代木版画館があって、この作品はけっこうすごい。細密な線で描かれたオブジェはなんなのかよくわからないのだが、機械と昆虫が合体したようなものである。こじんまりとした館であったが、作品は本当におもしろかった。
遊歩道を引き返して坂本直行館から先に進むと「夢想館」があって、そこには彫刻が展示されていた。北海道出身の彫刻家の作品を展示しているのだ。
さらに樹林の中を進むと一番奥に小泉淳作美術館がある。日本画家なのだが、その絵は細密画といってもよくて、野菜の根や葉脈などが緻密に描かれていて、独特な雰囲気をかもし出しているのだ。
この美術館巡りのあとで、温泉に行った。
福祉の里温泉といって、老人福祉センターの同じ建物の中にあるのだ。入浴料は350円で、新しいきれいな温泉である。サウナもあった。
夕方、登山口に向かう。その途中にピョウタンの滝があったので立ち寄った。ナイアガラみたいに札内川が滝になって落ちているのだ。それなりに迫力がある。それと、この園地には日高山岳センターがあるのだが、もう5時を過ぎているので閉まっていた。帰りに寄ろう。
登山口のある札内ヒュッテに向かって走って行ったが、困ったことに札内ダムで通行止めになっていた。カーナビによるとここからヒュッテまでは6km以上あるのだ。落石の危険があるというのだ。
しかも、札内ダムのゲート前には熊が出没するので、車から降りないでくださいという張り紙があった。これはいったいナンナノダと思ってしまう。
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