本地堂から戻って石段を上ると陽明門である。
陽明門に施されている彫刻は508体もあるのだそうで、一日中見ていても飽きることがないということから日暮門とも呼ばれるのだ。日本の建造物は過剰な彫刻を施したものはほとんどないのだが、この陽明門だけは別である。溢れる色彩と空間を恐れるかのように埋めつくされた彫刻群に圧倒されてしまうのだ。
門のすぐ上の梁には白い唐獅子の彫刻、その上には唐の聖人たちの彫刻、その上の高欄には「唐子遊び」という子どもたちが遊ぶ図の彫刻が施されている。さらにその上には白い龍、ともかくこの過剰な彫刻はすごいとしか言いようがない。陽明門から左右に伸びる塀も花鳥の彫刻で埋め尽くされていて、これらを丹念に見ようと思ったら、本当に一日かかってしまいそうだ。
神像を左右に見て、門をくぐって裏に回ると唐獅子が置かれている。こちら側の門の柱の一本は逆柱になっている。よく見ると柱につけられて文様の渦巻きが逆さなのだ。あまりにも完璧であることを避けるため、あえてこの1本だけ逆さ柱にしたのだそうだ。
こちら側の左右の塀には白い唐獅子の彫刻が施されている。
門をくぐった正面に建つのが唐門で、これは白く塗られている。
唐門の両側の白い柱には紫檀・黒檀の素材そのままの龍が彫られている。昇龍と降龍である。
門の唐破風に下には舜帝朝見の儀の彫刻がある。これもすばらしく精緻なものである。この門の奥には拝殿と本殿があるのだ。
唐門を正面に見て、左に進むと東回廊のくぐり門があって、そこには有名な左甚五郎作とされる眠り猫がある。
この東回廊から長い石段を登って行くと、徳川家康が眠る奥社である。石柵に囲まれた広場の真ん中に宝塔があって、この中に家康の棺が収められているのだ。
東照宮の参拝はこれで終了して、来た道を引き返す。
|