駐車場→法起寺→山背大兄皇子の墓→法輪寺→中宮寺→法隆寺→夢殿

斑鳩の里では法隆寺に行くことはあって、斑鳩三塔と呼ばれる法起寺・法輪寺まで含めて散策することはほとんどないのだ。斑鳩の里を、のんびり散策するというのは、かねてからの私の夢で、今回それを実現させることにした。


 法起寺
行く手に法起寺の塔が見える


法起寺山門


法起寺境内

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2008年11月26日

今日の斑鳩の里散策は、法隆寺から法輪寺、法起寺と巡るつもりである。車をとりあえず法起寺の近くに置くつもりだったが、予定していた駐車場がなくて、しかたがないのでホームセンターの駐車場に停めた。

近くのバス停から、バスで法隆寺まで行ってしい、それから歩いてここに戻ろうと思っていたのだが、バスは1時間に1本で、5分前に出たばかりである。しかたがないので、法隆寺まで歩いて帰りにバスを使うことにした。ところが歩いていたらバスが私を追い越して行った。バスは10分ほども遅れていたのだ。
車が行き交う道を歩いて行く。でも、歩道部分がついているので安心である。10分ほど歩くと、行く手に塔の先端が見えてきた。田畑の広がりの中に塔がたっている、いかにも斑鳩という感じである。
県道から左折して、法起寺山門の前に着く。
ここは聖徳太子の遺命によって、山背大兄王が岡本宮を寺院に改めたのだ。

山門から入ると右に池があって、その奥に三重塔がたっていた。池に映る塔がきれいである。この三重塔は慶雲3年(706)の建立で、現存する最古の三重塔なのだ。もちろん国宝である。
境内にあるのは古い建物は三重塔の他には江戸時代の講堂と聖天堂だけである。コンクリート造りの収蔵庫があって、ここには平安時代の十一面観音像があった。あまり好きな顔ではない。平安時代になると、飛鳥・白鳳に比べて仏像の表情がいかつくなって、私はあまり好きではないのだ。



 法輪寺
山背大兄王の墓所と思われる丘


民家の奥に法輪寺三重塔


法輪寺入り口


講堂


法起寺をあとにして、池の畔を歩いて行く。振り返ると集落の屋根の上に三重塔の水煙が見える。この景色って本当にいい。

法輪寺へは、県道を離れて、まっすぐ西に向かって歩いて行く。道端に山背大兄王の墓所という説明板がたっていた。
山背大兄王は聖徳太子の皇子なのだが、聖徳太子亡き後、蘇我入鹿に攻め滅ぼされたのだ。これによって聖徳太子の一族は完全に途絶えてしまうのだ。
説明板の正面に丘が見えるのだが、これが山背大兄王の墓なのだろう。
ここから少し行くと、法輪寺の塔が見えてきた。
斑鳩三塔といわれて、法隆寺・法起寺・法輪寺の三つの塔が斑鳩にあるのだ。法輪寺の三重塔は明治時代に国宝に指定されていたのだが、昭和19年に落雷で焼失してしまったのだ。今、ここに立つ三重塔は昭和50年に再建されたものである。
法輪寺には、塔の写真を撮りたくて裏からまわっていった。民家の屋根の上に見える塔がすてきだった。
山門から境内に入る。でも拝観受付がない。境内は自由ということなのだ。
三重塔の写真を撮って十分満足したが、講堂には飛鳥時代の仏像があるので、やはり拝観料を払って講堂に入ることにした。
仏像がたくさん並んでいるのだが、真ん中に一番大きな十一面観音立像がある。でも、私が見たいのはその両脇の薬師如来座像と虚空蔵菩薩である。飛鳥時代後期のもので止利仏師の一派がつくったものらしい。薬師如来座像は法隆寺の釈迦三尊にすごく似ている。法隆寺のものは金銅仏だが、ここは木造である。
観音像も、いかにも稚拙な造りというのがすごくいい。でも、この飛鳥時代の木像は国宝ではなくて重要文化財なのだ。私は、飛鳥仏だったら当然国宝になるものだと思っていた。かなり補修が入っているのかもしれない。


 中宮寺
法隆寺五重塔が見える


中宮寺に向かう


中宮寺本堂

飛鳥仏を観たことにすごく満足して法輪寺を後にした。田畑の中の道を歩いて行く。でも、途中で道を間違えて、大きな池の畔に出てしまった。ガイドブックの地図と磁石で場所を確認して、新しい道を歩いて行った。
行く手に法隆寺の五重塔と金堂の屋根が見えてきた。
土塀が連なる細い道を歩いて、夢殿の前に着いた。夢殿は法隆寺を観てから最後に入ることにして、まず中宮寺に行った。ここの弥勒菩薩(お寺では如意輪観音という)はすごく有名で、この仏像を賞賛する人はすごく多いのだ。でも、私は京都太秦の広隆寺の弥勒菩薩のほうがだんぜん好きなのだ。
中宮寺ではこの仏像に会うためだけに500円を払わなければいけない。
中宮寺の弥勒菩薩の居られる本堂は鉄筋コンクリート造りである。階段を上がって、弥勒菩薩の前に座る。いままでの印象とまったく違って、すごくすばらしい仏像に思えた。私はここには5回ほども訪れているのだが、こんな仏様だったっけと思いを新たにした。ともかく、今回はこの弥勒菩薩に魅入られてしまった。
弥勒菩薩は、釈迦入寂後、567000万年後に衆生を救うために現れる未来の仏である。今は兜率天の摩尼宝殿にあって、衆生を救うための思索にふけっているという。その姿がこの仏像である。半跏思惟像という。
弥勒像の横に、聖徳太子夫人の橘大郎女(たちばなのおおいらつめ)が太子を偲んでつくらせたという天寿国曼荼羅繍帳が展示してあるのだが、これは複製なのだ。本物は国宝である。

でも、弥勒半跏像がとてもよかったので大満足で法隆寺にむかった。



 法隆寺伽藍
南大門から法隆寺に向かう


五重塔と金堂


回廊


回廊から見る金堂


大講堂


法隆寺へは東大門をまっすぐに行くと最短なのだが、少し遠回り南大門に向かった。
南大門をくぐった真っ正面に中門と法隆寺伽藍が見える。南大門から中門に向かう参道は私の大好きな道で、両側に土塀が続き、行く手に五重塔と中門が見える。法隆寺に来たという実感がする道なのだ。
…なのだが、今日はとんでもない人混みであった。修学旅行生が列をないしているのだ。
おまけに、中門の前では記念写真を撮っていて、その順番待ちでごった返していた。とんでもないときに来てしまったと悔やんだ。
とりあえず国宝の中門を観る。ここにたつ仁王像は和銅4年(711)造立の古いものなのだが、補修が多いので重要文化財指定である。
中門の左から入る。中に入ると目の前に五重塔と金堂がたっている。これを囲む回廊はエンタシスの柱が連なり、もちろん国宝である。
五重塔の四面には塑像群がある。もっとも優れているのは北面の釈迦涅槃の図である。釈迦の入寂を嘆く羅漢の姿がすごくいいのだ。でも、驚いたことにこの前には学生の大行列ができていた。他の面にはだれもいないのに…。さすがに先生は必ず観るものだけは指定しているらしい。
金堂はあとにして、大講堂を観に行った。
ここも学生が行列している。ここには薬師三尊と四天王像があるのだ。大講堂は生暦元年(990)の再建であるが国宝で、薬師三尊も国宝なのだ。
大講堂を観終えたが、学生はこの奥に行列している。この奥になんかあったかと不思議に思ったが、とりあえず行列に加わった。
長い石段があって、そこにびっしりと学生が並んでいる。しかたがないので、気長に行列することにした。そして、ようやく御堂の前に出たら、驚いたことに釈迦三尊と薬師如来坐像が置かれていた。この仏像は金堂にあったはずではないか。でも、釈迦三尊がここにあるのだったら、教師が学生に行列させるはずである。金堂に置かれていたときは暗いし距離があったのでよく観ることができなかったのだが、ここでは間近に観ることができて大感動である。…、と喜んでいたのは私だけのようで、学生たちは一瞥しただけでどんどん通り過ぎて行くのだ。もちろん立ち止まってじっくり鑑賞されたら、渋滞でとんでもないことになるのだが。
大講堂から出て、金堂に行ったら工事中で中には入れないのだった。納得した。でも、金堂に入れないということは、壁画を見ることができないということだ。残念だ。それに、私の好きな四天王像も観れない。かなり悔しい。
そんなことを思っていたら、いつの間にか境内に修学旅行生がいなくなって、すごく静かになった。人のいない五重塔、金堂の写真を撮りなおした。



 宝物館と夢殿
法隆寺伽藍を振り返る


大宝蔵院入口


夢殿


参道をバス停に向かう


次は宝物館に向かう。

ここには夢違観音、玉虫の厨子、百済観音、橘夫人の念持仏など、私大好きな仏像が目白押しなのだ。もちろん他にもたくさんの国宝級の美術品があふれているのだが、私の目的はこれにつきる。
今回は、特に百済観音がよかった。
私は百済観音は顔がよく見えなくて、おまけにノッポすぎてあまり好きではなかったのだが、今回はなにかしらすごくすてきであった。
まず、すらりと伸びた肢体がなんともいえずいい。横から見ると、ほとんど肉なんてない薄っぺらな体なのだが、それが何ともいえずいいのだ。特に感動してしまうのは両手の指である。左手で水nを持っているのだが、その指の感じがすごくすてきなのだ。それにだけ見とれてしまった。
最後に夢殿に行った。夢殿には救世観音があるのだが、これは秘仏で、年に二回だけ開帳するのだ。秋の公開もあるのだが、それは1122日で終わっていた。4日前ではないか、惜しいことをした。
この救世観音は明治まで、一切公開されることのない秘仏だったのだが、フェノロッサが法隆寺の僧をほとんど恫喝することによって、これを開かせたのだ。おかげで、今は年に二回観ることができるようになったわけである。
すべて観終えて、南大門に戻ってきたのは1515分であった。バスは1540分頃のはずである。今日の歩く距離は短かったはずなのだが、すごく疲れた。


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