登山道入口からは、きれいなブナ林の中を登って行く。10分ほどで経塚山との分岐に着いた。指導標には、ここから牛形山まで3.6kmと書かれていた。
ブナ林の急斜面を10分ほど登ると尾根の上に着く。きれいなブナ林の尾根を行くと、木道が現われ、その先で樹林が途切れて立派な山が見えた。これが焼石山かと思ったのだが、後で調べたら、これは経塚山であった。
さらに10分ほど行くと、ロープが下がる急な登りが始まった。見上げるとまっ青な空が広がっている。
傾斜が緩まると、すばらしくきれいなブナ林を行くようになり、行く手に岩壁をまとった山腹が見えてきた。すぐに樹林から抜出すと、右に端正な三角峰が見えた。これが鷲ヶ森山であった。私はこの山へ縦走するのだ。ワクワクするような縦走路である。
行く手には裸地の急斜面が見え、登山道はこの斜面をトラバースするのだった。
ロープが張られたトラバース道を慎重に通過して潅木の中に入ったが、すぐにまた急な露岩の斜面が立ちふさがる。ロープにすがってこれを越えると、鷲ヶ森山の手前にもう一つの山が聳えているのが見えた。これが白子森であった。山頂付近には岩場も見えて、これもすばらしい山である。
この先には草つきの急斜面が待ち受けていて、これをトラバースする。ここから山の斜面を見上げるとまっ青な空に白い月が見えた。そして、この急斜面の上が牛形山のはずである。
トラバースを終えて潅木の中に入ると、そこに水場があった。ガイドブックにはない水場である。コップにすくって飲んでみると冷たくてうまかった。
水場から少し行くと、鷲ヶ森山との分岐に着く。牛形山へはここから往復するのだ。
分岐からすぐは木道の敷かれた小さな湿原である。でも、今の時期は花はひとつも咲いていなかった。
木道から潅木の中に入ると、すぐに急な登りが始まる。ロープが下がっていて、これにすがって登って行く。尾根が見えてきたら、その直前は最近笹藪を切り開いたと思われる道になった。これが、登山口にあった山頂直下の土砂崩れの箇所のようである。
ロープにすがって登って尾根の上に着く。牛形山山頂へは尾根を左に行くのだ。でも、右にもりっぱな山が聳えている。ただ、そこへ登る登山道はなかった。
尾根からは初めて焼石連峰を眺めることができる。すばらしいとしか言いようのない眺めである。本当にうれしくなってしまう。
紅葉の痩せた尾根を歩いて行く。潅木の中に入ると、道には大きな岩がゴロゴロしていて、すごく歩きにくい。潅木から抜出すと、すぐに牛形山山頂広場であった。山頂にあるのは二等三角点であった。
山頂からはともかく焼石山の眺めがすばらしい。そして、焼石山から左にかなり離れて経塚山が聳えている。私が登ってきた尾根の先には無名の立派な山が見える。尾根は紅葉がすごくきれいだ。
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