1995年9月30日
青森から車を走らせて、弘前から相馬村に向う。
相馬村から「相馬田代林道」に入るが、この道はすさまじくダートな道であった。
なんども車の底をぶつけてしまう。
林道から登山口に向う向う道に分かれると、さらにすごい道になった。
大広手登山口に着いて、歩き始めたのは11時を過ぎていた。出発が遅くなってしまった。
広くてしっかりした林道を登ってゆく。
山道になると、樹林の中を尾根に向って急登する。これはかなりきつくて1時間ほど登り続けるのだ。
ようやく尾根に登り着くと、荒沢からの登山道と合流して、山頂まで2.2kmの指導標があった。
ブナの林の中尾根道を登ってゆく。鬱蒼とした樹林の中の道が続く。ブナの森である。
1992年に白神山地は屋久島とともに世界自然遺産に登録されたが、その白神山地に田代岳は隣接しているのだ。ブナの森が美しいのは白神山だけではないのだ。
ブナ岱の少し手前には鳥居がたっていた。ブナ岱はブナの原生林ですばらしい。葉は紅葉し始めていて、幹には黒いコケがむしている。
ここから30分ほど行くとブナからダケカンバの林になって、最後に急な道を登ると9合目に着く。その少し先で樹林を抜ける。そこには湿原が広がっていた。
この湿原はすばらしい。木道を歩いて行くが、池塘が散らばり、草原は黄金色に輝いている。こんなところに、こんなすばらしい山があったのだ。私の故郷のすぐ近くの山なのに知らなかった。まったく期待していなかったので、なにかしら、ひどく得した気分である。行く手にはこんもりとした山がそびえていて、これが田代岳山頂である。
美しい池塘群を眺めながら木道を行くと、分岐があった。まっすぐ行くと薄市沢コースで、山頂へはここで右折する。
山頂には鳥居と祠があって、到着は1時15分であった。2時間少しの登りであった。
ここからは湿原を展望することができるのだ。湿原に無数に散らばる池塘群、風にそよぐ黄金色の草原。その中を木道が続いているのが見える。
なんてきれいなんだと思ってしまう。
ここからは岩木山も見えるはずなのだが、その方向には雲があって、残念ながら見えない。
ともかく、この湿原の展望はいつまでも見飽きることがない。この山は三ツ星でお勧めの山である。
ガイドブックを読むと、この湿原は花の時期もすばらしくきれいらしいのだ。ワタスゲの大群落を見ることができるらしい。花のきれいな時期にもう一度訪れたいと思う。
登ってきた道を引き返す。
湿原の木道はのんびりと歩いて、ビデオをまえあし続けた。
登山口に戻ったのは3時少し過ぎであった。
明日は藤里駒ケ岳に登るつもりである。ガタガタの林道を走って、秋田県側に抜ける。途中にブナ岱というところがあって、ここはブナの森の中に遊歩道が整備されているのだ。せっかくなので、この遊歩道を歩いてみた。
ブナの森をのんびり歩くのは、なぜか心が安らぐ。癒しの森である。
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登山口
尾根に着いた。頂上まで22kmの指導標
ブナ岱
9合目
田代山山頂
木道の指導標、右が山頂
田代岳山頂 |