BACK 岩手山
2004年6月29日
4時半に目を覚ました。すごい風の音がする。窓から外を覗くと霧であった。
今日の天気はダメか。
昨日は松川温泉まで行くところを、8合目避難小屋に泊まってしまったので、その遅れ3時間半を少しでも取り戻さなければいけない。
出来るだけ早く出ようと思っていたのだが、結局出発は6時になってしまった。
強い風で霧が流れる中、雨具の完全武装で出発した。
昨夜の同宿した人が外まで見送ってくれた。
まず、9合目の不動平まで登りかえす。不動平も霧の中だったが、大きな岩の下に石灯籠や石仏があるのを見つけた。岩手山も修験道の山なのかと思った。
天気が悪いので、岩場の連続する「鬼ヶ城」の稜線は通らずに八目湿原に下って、それから黒倉山に登り返して稜線の道に出るつもりである。
不動平で指導標を探したが、八つ目湿原という案内はなくて、「お花畑コース」というのがある。感じからしてこれだろうと思って、この道を行く。
どんどん下って行く。涸れた沢筋に下るのだがけっこう急な道である。
ようやく傾斜がなくなって平らになると、すぐに木道に出た。
これは昨日、岩手山の山頂から見た道である。そうすると右に行くと御苗代湖があるはずである。雨の中だが、せっかくなのでこの湖を見ていくことにした。
木道を行くとすぐに潅木に覆われた道になった。道を笹が覆い隠して、この笹を掻き分けながら進まなければいけなかった。とんでもない道である。
薮こぎをしてようやく、右手に小さな丸い沼を見た。これだろうか。山頂から見たときはもっと大きいような気がしたが…と、ともかく写真を撮って引き返した。
(後で地図を見て確認したら、どうもこれは御苗代湖ではなくて、その隣にある小さな沼「御釜湖」だったようだ)
分岐には大きな注意書きがあって、有害火山ガスが噴出しているので注意とある。(私は知らなかったのだが、岩手山のこの一帯はずうっと登山禁止になっていて、解禁されたのは私が登った翌週の登山開きの日だったのだ。)
私がこれから向かう道筋も要注意地帯になっている。少しビビった。
鬼ヶ城の山腹の下の方をトラバースしてゆく。
このあたり道標がしっかりしていない。ものすごく古いものが残っているのだが、朽ちてしまっていて文字が読めないのだ。
八つ目湿原から下って行く。右手に沢が流れているのだが、その流れが硫黄を含んでいて、岩が黄白色になっている。本当にこのあたりは火山地帯なのだ。
まず「大地獄」といわれるところの分岐に出た。このあたりは山腹が硫黄質の白い地肌で、白煙があちこちで上がっている。看板にあった危険地帯がここである。
尾根を登って行く。
鬼ヶ城の稜線に出るが、そこは樹林の中である。ガイドブックには「笹小屋跡」とあるのだが、小屋の跡らしきもものはまったく見当たらなかった。
ここから稜線の道を行くが、黒倉山へ至る道は閉鎖されていて、山頂部を左に巻く。
樹林の中から砂礫の道に出た。道にはロープが張ってあって、歩く道を制限してある。この道の両脇は、やっぱりガスが噴き出ているようなのだ。
両側に観測用の機器が据えられた道を少し行くと、網張温泉へ下る道との分岐があった。
霧の中で、小雨も混じっている。なかなか落ちついて休憩ができない。
そのまま先を急ぐことにした。
右に姥倉山の指導標があったので、ザックをそこに置いて登ってみた。すぐに突き当たりになって、標識も何もない広場だけがあった。
どんどん下る。
すぐに樹林の中の道になって、これを急いで下って行く。時間が少しも短縮できない。
道が平らになって、もうすぐ松川温泉ではないかと思ったのだが、そこは「湯の森」であった。がっかり。
ここからさらに急な下りが続いた。
樹林の中を下って行くと下からゴウゴウと音がする。いったい何の音だと思っていたら、後でわかったのだが、これは地熱発電所の蒸気が吹き出す音だったのだ。
どんどん下って行くと雲の下に出て、展望が広がった。
結局、松川温泉のキャンプ場に着いたのは11時頃、
あんなに天気が悪かったのに、ここでは雲間から日がさしていた。
キャンプ場の管理棟の前で休憩。
|