くどじやま

標高 663m
この山は、私の青春の想い出の山である。私の高校の校舎からは、いつもこの山を眺めることができたのだ。

2004年811

昨日は高校の時の親友の家に行って酒を飲んでいた。
彼の登山歴はすごくて、私も登山を始めるきっかけは、彼であった。彼は海外遠征にも参加した経験があり、岩登りも相当やっている。私は本当に素人に毛がはえた程度の技術しかもっていないのに対して、彼は本物である。
彼は建築関係の仕事をしているので朝が早くて、私も彼が仕事に出かける前、6時頃にこの家を辞した。

弘前にいる。
私が通った高校は「弘前南高等学校」で、私はその第4期生である。
その当時は林檎園の真ん中に校舎がポツンと建っているという感じで、私が入学したときはまだ校門もなかったのだ。弘前の駅前からバスが出ていて30分かかる。
その高校の通学路からは、林檎園の向こうに岩木山をいつも見ることができた。そして、その反対側に聳えていたのが久渡寺山である。
久渡寺山は二つのピークをもっていて、左が久渡寺山山頂で右が岩落山、これを吊尾根が結んでいる。
高校行事では年1回、マラソンがあって、その折り返し点がこの久渡寺山の前なのだ。そして、この久渡寺山は津軽一円のオシラサマ信仰の中心となる山である。
オシラサマというのは何だと訊かれても、私はうまく説明ができない。「遠野物語」にも出てくるのだが、土俗の信仰である。本尊は桑の枝でつくられた男女2体の神なのだが…。
この山麓は、弘前市によって「こどもの森」としてきれいに整備されていて、遊歩道も完備されている。

寺の前にはバスの回転場となる駐車場兼の広場がある。私がここに着いたのは6時くらいだったために、車は1台も停まっていなかった。
寺の本堂に向かって長い石段を登って行く。
鬱蒼とした杉林の中の道である。
登り切ったところにお堂が建っていて、左に行くと久渡寺の本堂であるが、私は右の国見台を目指す。
すぐにたくさんの石仏が並んだ広場に出た。石の地蔵尊が斜面いっぱいに並んでいる。
この雰囲気は、下北の「恐山」に似ている。
このあたりは遊歩道が縦横に走っていて、どの指導標にしたがったらどこに行くのかというのが少しわかりにくい。
国見台では街の方向の展望が開けていて、弘前市街を見渡すことができる。弘前藩主がここから藩内を見渡したから「国見」なんだろうか。
ここから少し登って、「新国見台」に着く。ここにも展望台が作られている。
すぐに山頂にをめざすことにした。
林の中を歩いて行くと、いくつかの分岐がある。まっすぐに歩いて行ったらキャンプ場に着いた。無人のキャンプ場で、水道施設があったのだが、飲めませんとあった。沸騰させなければだめみたいである。
キャンプ場から少し行くと、沢に沿った道になる。この沢が弘前市内を流れる「土淵川」の源流になるのだそうだ。
行く手に大きく山腹が立ちはだかっていて、その左手のピークが久渡寺山である。
この沢を渡ると、本格的な登りになる。やっと登山らしくなった。
30分ほど登るともう山頂で、そこには鳥居と祠がある。展望は開けていない。山頂の祠の前には屋根がかかった拝殿のようなものがあるのだが、これが傾いていて、今にもつぶれそうである。なにかしら、いかにも古い信仰の山らしい。
山頂から岩落山に向かう吊尾根の道が「太陽の道」である。けっこうすごい名前がつけられているのだが、樹林の中で太陽はみることができない。30分ほど樹林の中の稜線を行くと岩落山の山頂である。…といっても、まったく山頂らしくないところで、稜線の道に突然指導標が立っていて、そこに岩落山山頂と書いてあるだけなのだ。
登山口にあったイラストの地図では、ライオン岩というのがあるらしいのだが、よくわからないのでそのまま下ることにした。
急な道を下ると、来たときに通ったキャンプ場のすぐ近くに着いた。
あとは車を置いた登山口駐車場に向かうだけである。指導標に従って久渡寺を目指す。登ってくるときに寺の本堂には寄らなかったので、立ち寄ってみるつもりだ。ところが道をどう間違えたのか、舗装道路に出てしまった。仕方がないのでこの道を登って行く。
そうしたら行き止まりが久渡寺の裏であった。
久渡寺というのは、オシラサマ信仰の中核のお寺なのだからと、けっこうすごい伽藍を期待していたのだが、そうでもなかった。
本堂の前から、登ってきた石段を下って駐車場にもどってきた。
わずか2時間ほどの登山だったけど、それなりに信仰の山の気分を味わうことができた。
それにこの山は、やっぱり私の高校のときの思い出の山なのだから。

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登山道入り口


石段を登る


国見台


ここから山道が始まる


山頂の祠


岩落山山頂


下山路の分岐


路傍の石仏


久渡寺から石段を下る





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