不動明王から30分ほど急登を続けると、樹林の間からすごくりっぱな山が見えた。前神室山であった。帰りはこのピークを踏んでから尾根を下るのだ。
さらに林の中を30分ほどひたすら登って行くと、ようやく傾斜が緩まって樹林から抜け出した。尾根の左側をトラバースするようにして歩いて行く。左下には深い谷が見えて、雪渓が残っているのも見える。すばらしい展望である。
尾根の上を行くようになると、すぐに「御田の神」に着いた。名前からして、湿原を期待していたのだが、そうではなかった。少し行くと、右に踏み跡があるので行ってみた。きれいなお花畑が広がっていた。湿原ではないのだが、ニッコウキスゲが咲く草原である。草原の向こうに西の又のピークが台形で聳えていて、その右には前神室山がすばらしい姿で聳えている。大満足である。
御田の神からは下に雪渓が見ながら急下降する。下り着いたところからは雪渓の上を行くのだ。雪渓を歩いてから笹藪の間の道に入る。正面に西の又の稜線を眺めながら歩いて行くと、雪田に出た。これを横切って急な登りになると白い花が一面に咲いていた。すごくきれいである。
花の群落の間を上って尾根の上に出ると、神室山山頂が見えた。その風格はさすがに日本二百名山である。
痩せた尾根を西の又に向かって登って行く。展望は最高で、つい立ち止まって写真を撮ってしまうのだ。
灌木の間を急登すると、指導標のたつT字路に着いた。ここが西の又分岐である。右が前神室山で、左が神室山山頂なのだ。
神室山山頂に向かう。山頂に続く痩せた尾根にはハクサンイチゲやニッコウキスゲなど、花がいっぱいであった。行く手には神室山が大きく聳えて、左下には雪渓の残る深い谷、振り返ると、今歩いてきた尾根が一望できる。立ち止まって写真ばかり撮っている。山頂への痩せ尾根の途中には岩場の下りがあった。ここから登り返すとようやく山頂である。
山頂には石碑が3つあって、その後ろに二等三角点があった。
山頂からは360度の展望である。神室山山頂から南に続く尾根の先に聳えているのは小又山で、その右の稜線の先には火打岳が見える。東には虎毛山が高く聳え、その右奥に霞んで見えるのが栗駒山だ。北には西の又の奥に前神室山が見えている。このすばらしい眺めを見ながら、パンをかじった。
遅れて登ってきた3人が、鳥海山が見えるという。霞んでいて気がつかなかったのだが、雲の上に富士山のような雪の頂が覗いていた。すごい。
景色を堪能して、下山開始。
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