あいかわらず、稜線の左斜面を行く。道には黄色く色づいたカラマツがすごくきれいである。黄色が青空によく映えるのだ。
行く手に飛竜山と思われる、大きな山塊が迫って来ると、明るい鞍部に着いた。ここが北天のタルであった。ここから三條の湯に下って行くのだが、その前に飛竜山を往復しなければいけない。
どうせ、ここに戻って来るのなら、重いザックを背負って行く必要はない。小さなペットボトルに水を入れて、あとはパンとミニ三脚だけを持って山頂を目指すことにした。
小屋泊まり一式の入ったザックから解放されると、すごく軽やかになった。
登山道は飛竜山の南を捲いて行って、かなり先でUターンして山頂に至るのである。ずいぶん遠回りをするのだ。でも、近道もあるようなのだが、これは帰り道に使おうと思う。
北天のタルからは桟道が続く。振り返ると、三ツ山がきれいに展望できた。
トラバース道が続く。途中、狭くて、崩れやすい箇所もあって緊張させられた。
北天のタルから35分ほど歩くと、指導標がたっている。右に登って行くのが飛竜山山頂への道で、左はサヲウラ峠へ下る道だ。真っ直ぐに行くと笠取山・将監峠となっている。明日は笠取山に登る予定なので、ここから縦走してしまいたいという気もするのだが、下ったあとのアシがないのだ。
この分岐には小さな石の祠が祀られていた。ガイドブックを見ると、「飛龍権現」と書かれている。
山頂に向かう前に、展望がすばらしいという禿岩に行ってみることにした。
200mほど行くと、禿岩という指導標がたっていて、縦走路から左に入る。痩せた尾根を行くと、すぐに露岩の上に出た。
すばらしい展望である。富士山がすっくと聳えていて、その手前に連なるのが大菩薩嶺である。右遠くに延々と続く山並みが見える。南アルプスであった。右端が鋸岳で、その隣が甲斐駒、あとずうっと南アルプスの峰嶺が連なる。和名倉山などの秩父の山々も一望できた。
紅葉の山々が幾重にも重なって続く絶景には何もいうことがない。ここからは、これから登る飛竜山も見ることができた。
大満足で分岐に引き返した。
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