BACK 三川台からコスマヌプリ
2007年7月9日
コスマヌプリからは急な下りである。目の下には広大なハイマツの原が広がっていて、その中を登山路が細い線となってうねりながら続いている。登山路は緩やかに左に曲がってゆき、その先には平らかな頂稜の上に巨岩がいくつも立っているのが見える。これが次の目標のカブト岩である。
ハイマツの中を緩やかに登って行く。少し急な斜面を登って巨岩の基部に着く。そこには巨岩がいくつも突き立っていて、どれがカブト岩なのかよくわからなかった。
巨岩の間を抜けるとハイマツの中の急な下りになる。長い下りであった。
ようやく着いた鞍部はぬかるんでいて、水が流れていたりする。(ここが双子池のすぐ傍だった)
この泥濘帯から緩やかに登って行くと雪渓の横の広場に着いた。よく見るとテント場がいくつか見える。ここが双子池キャンプ場であった。でもテント場としては荒れた感じである。
10時半になっていた。この調子なら美瑛避難小屋には5時頃に着けそうである。
ここからはオプタテシケへの急登になるので、少し長めの休憩をとることにした。
振り仰ぐオプタテシケには雲がかかり始めていて、山頂へ続く急斜面は雪渓に覆われている。気を引き締めた。
オプタテシケへは登り2時間である。焦ることはない、ゆっくりと登ってゆこうと思う。
…ところが登山道がわからなかった。いくら探しても道がない。ようやく雪渓の上にかすかな靴跡を見つけた。まず雪渓の中を登らなければいけないのだ。雪の上の踏み跡を慎重に辿って行くのだが、時々わからなくなる。ようやく雪渓の中の中州のような岩場の中に踏み跡が続いているのを見つけた。ほっとしたのだが、再びその踏み跡は雪渓の中に消えてしまった。ここからはカンで雪渓の縁をたどっていった。まだ葉の出ていない潅木につかまったりして急登を続け、雪渓が尽きたところで明確な登山道を見つけた。ほっとした。
ここで休憩。下を見ると、ハイマツの草原の中に同じ形の池が二つ見えた。これが双子池なのだ。その遥か向こうにはトムラウシが見え、いくつもの山並みが重なっている。すばらしい眺めである。でも、行く手の稜線の左はいつのまにか雲海に埋まっていて、それが次第に山頂に向かって上がってきている。天気は崩れるんだろうか。
雲に覆われる前に山頂に着きたいので急ぐことにする。急登が続く。道には岩がゴロゴロしていて足元がすごく不安定である。岩だらけの道が終わったら、今度は砂礫のザクザクの道になった。
少し傾斜が緩まってほっとすると、チングルマの白い花が咲き乱れているのに気がついた。山頂を振り仰ぐと真っ青な空が広がっている。ファイトが湧いてきた。
ジグザグの急登が続き、足元の岩礫を見つめ黙々と登ってゆく。でも、山の斜面にはお花畑が広がり、振り返ると湧き上る雲の中にトムラウシ、すばらしく眺めに元気が湧いてくる。
次第にピークが近づく。もう少し、もう少しと自分を励ましながら一歩一歩登って行く。
ようやく山頂に着いた…と思ったら、稜線の向こうにさらに高いピークが聳えていた。そこには山頂の標識が見える。あれがオプタテシケの山頂なのか…、まだ遠いではないか。
ザックを投げ出して、座り込んでしまった。
水を飲んで呼吸を整える。いっそここで休憩してしまおうかとも思ったが、やっぱり山頂でのんびりしたい。5分ほど休んですぐに出発した。
痩せた岩稜の道を行く。すぐ目の前に山頂があるのになかなか近づかない。最後に急な岩場を登って、ようやく山頂に着く。1時少し前であった。
やったぁと思った。おもわず万歳してしまう。
山頂からまわりの山々を眺めるが、湧き上る雲でよく見えない。でも、いかにも夏山といった感じである。平野の方は一面の雲海でその上には真っ青な空が広がっている。湧き上がる白雲と美瑛岳に続く稜線。雄大な眺めだ。大満足である。
さて、まだ13時である。ここから美瑛富士避難小屋まではほとんど下りで、2時間ほどだ。充分余裕なので長めの休憩をとることにした。山頂には45分もいたのだが、ここで水がほとんどなくなってしまった。ヤバイ。
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