BACK 日本庭園からトムラウシ
2007年7月9日
真夜中の1時半に目覚めてしまった。なかなか眠れないのでお湯を沸かすことにした。この縦走中、水はすべて雪渓の雪解け水を使わなければいけなくて、一旦煮沸する必要がある。今、沸かしておいたら朝には冷めて水になっているはずだ。ただ困ったことがある。ガスが足りなくなりそうなのだ。使う水のすべてを煮沸することになろうとは思っていなかったため、予備に小さいガスを持ってきているだけなのだ。節約する必要がありそうである。
お湯を沸かしたコッフェルをテントの外に出して、もう一度眠った。
隣のツアーは、驚いたことに2時半にテントをたたんで出発していった。まだ真っ暗なのに…。
私は3時に起きて準備を始めた。3時を過ぎると外は仄かに明るくなってくる。北海道は経度が東にあるので明るくなるのが早いのだ。
テントの中で荷物をすべてザックに詰めてから外に出ると風が強い。厚い雲が勢いよく流れて行く。
強風の中でテントをたたむのはけっこう大変で、パッキングを終えたのは4時を過ぎであった。今日はすごい距離を歩くので早発ちをするのだ。
私は今回の山行に昭文社の登山地図を持ってきているのだが、地図に書かれた時間を足すと南沼のキャンプ場から美瑛富士避難小屋までは14時間にもなる。その通りだとすると一日で歩くのはほとんど不可能なのだが、最近の昭文社の地図は中高年登山者にあわせて、かなりゆとりの時間を設定しているので14時間もかかるはずはないと思っている。それに、14時間かかっても4時半に出発したら18時半には着けるはずだ。今は19時くらいまで明るいから、なんとかなるだろう。(ノウテンキだ…)
出発は4時半。まず、三川台を目指す。
トムラウシには厚い雲がかかっていて、黒い雲が風に流れて行く。
キャンプ場からは、まず急な下りである。下に見える山には朝日があたってオレンジに染まっている。天気はよくなりそうだ。
急な下りはすぐに終わって、ほとんど平坦な道になる。お花畑の中を行く快適な道である。行く手に三川台のピークが見えるのだが山頂部は雲に隠れている。でも、しだいに雲が取れてゆくようだ。
登山道は広い稜線を行くのだが、左側は崖となっていて、その向こうに頂上が雲におおわれたオプタテシケが見え、縦走路が一望できる。めちゃくちゃに遠回りしているのがわかる。縦走路は三川台まで行って、そこでUターンして下り、緩やかに右にカーブしながらいくつものピークを越えてオプタテシケに続いているのだ。その遠さにため息が出てしまう。
登山道にはチングルマの大群落が広がる。すばらしくきれいで、天上の楽園である。歩き出して30分もたつと、三川台にかかる雲はすっかり晴れて青空も見えるようになった。
登山道の左下には雪渓が広がり池も見える。なんてきれいなんだと思ってしまう。その向こうに聳えるオプタテシケの雲がだいぶとれてきている。今日も晴れそうである。うれしい。
チングルマのお花畑を行く快適な縦走路なのだが、行けど行けど三川台は近づいてこない。昭文社の地図では三川台までは2時間20分かかることになっているのだ。やっぱり遠い…。
断崖の縁を歩くようになると三川台は近い。とつぜんテントの前に出た。ここはテント場ではないのだが、5人ほどの若い登山者がいた。その少し先に分岐の指導標がたっていて、三川台と書かれていた。私が行くオプタテシケへの爺走路はここで左折するのだ。少し行くとまたテントがあって、これは地元のおじさん二人の野営であった。
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