きたとったべつだけ

標高 1912m
林道ゲート→1:45→取水ダム→2:10→幌尻山荘→3:00→稜線分岐→40分→北戸蔦別岳

今回の登山旅行でもっとも困難だろうと思う日高の山に挑む。熊は怖いけれども、1967m峰から幌尻岳に縦走するためには山中でテントを張るしかないのだ。結局、北戸蔦別岳山頂にテントを張った。
北戸蔦別岳山頂

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2006年726

今日は私の誕生日だ。それを記念して今回の登山旅行で最も困難な山に挑む。
幌尻岳は日本百名山の山なので登山者が多い山である。でも、北戸蔦別岳や1967峰を目指す人はほとんどいないのだ。
山と渓谷社の北海道百名山の本では、幌尻岳・戸蔦別岳を23日、北戸蔦別岳・1967峰も23日のプランで紹介している。でもこれらの山は隣接しているので、なんとか同時に登ってしまいたい。
当初の計画はこうだった。
1日目 ゲートから幌尻山荘まで行って、ここで宿泊
2日目 幌尻山荘から六の沢を遡って北戸蔦別岳へ。ここでテントを張る
3日目 北戸蔦別岳から空身で1967m峰を往復して、幌尻岳との中間でテント泊
4日目 幌尻岳に登頂して幌尻山荘経由で下山
4日間かかってしまう。それはいいのだが問題は水である。日高の山の稜線にいると水を手に入れることが不可能に近い。4リットルを背負って上がるなら二日か三日はなんとかなるかもしれないが四日は無理である。でも、このルートで水を手に入れる方法はある。それは3日目のテントを七つ沼カールに張ることなのだ。沼沢地なので水は目の前に広がっている。ちょうどいいところにあるテント場なのだが、問題は熊である。
この七つ沼は熊が頻繁に出没するところで有名なのだ。ここにはテントを張りたくない。
こうして、プランは行き詰まってしまうのだ。
そうして考えたのが、この山行を3日間で終わらせようというものである。
1日目に北戸蔦別岳まで登ってしまってテントを張るのだ。そして2日目は1967m峰を往復した後に幌尻岳の肩でテントを張り、3日目は山荘経由で下山してしまう。3日目は下りで、山荘まで行ったら水は手に入るから、水の残りは少なくて大丈夫だ。
このプランで、この最も困難な山に挑むことにした。

幌尻岳登山口までは遠い。国道237号線の平取から登山口まででさえ、林道を40kmも走らなければいけないのだ。
林道終点には簡易トイレのある駐車場がある。昨日はここに車を停めて寝た。
今日は北戸蔦別岳まで登らなければいけないので早く出発した。一般の登山者はほとんど幌尻山荘で泊まることになる。
重要なことなのだが、今年から幌尻山荘は事前予約制になったのだ。百名山ブームの影響で登山者が激増しているためである。しかも、ガイドつきの団体が多くなっている。
私は幌尻山荘を通過して、さらに3時間、沢を急登しなければいけないのだ。
出発は5時40分である。
長い林道歩きが始まる。この林道は糠平川に沿って続いていて、何度かこの川を渡る。
40分ほど歩くと二つ目のゲートがあって、通行禁止の表示がある。ここまで車で入ってもいいのだろうかと思ったりした。
さらに林道歩きは続く。道は糠平川からかなり高いところを通っていたのだが、しだいに川に下りてゆくようになる。
たくさんの人が休憩する取水ダムに着いたのは750分であった。ゲートからは2時間10分かかったことになる。ガイドブックの標準タイムは1時間40分なのだが…。
ここで少し休憩。休んでいる多くの人は今朝、幌尻山荘から下ってきた人たちのようだ。団体が多いのだ。
取水ダムの奥から登山道になる。糠平川の左に続く道だが、20分ほどで道は沢に下って、いよいよ渡渉が始まる。
ここで沢靴に履き替える。15年前に釧路に住んでいたころ、せっせと日高の山に登っていたのが、そのときに買った沢靴(当時はウェディングシューズといったが、今もこの呼び方でいいのだろうか)である。ウレタンのすねのサポーターも持ってきている。底にフェルトを張った沢靴は滑りにくくて、本当に便利なのだ。心配なのは15年も前のものだから、フェルトがはがれしまわないかということ。(でも剥がれることはなかった)この沢靴とステッキがあると徒渉は万全である。
私が初めて沢の徒渉を経験したのは、この幌尻登山であった。このことは私の百名山幌尻岳のページでふれているのだが、普通のズック靴で渡渉して見事に転倒してしまった。
沢の歩き方をなにも知らなかったのだから仕方がない。
その後、日高の山で経験をつんで、どんな石が滑るのか、水の中ではどこ足を置いたらいいのか等、なんとかわかるようになった。
そんな昔のことを思い出しながら沢を渡った。
1回目の渡渉をすると、すぐに次の渡渉がある。そのあとはしばらく沢の左につけらた踏み跡をたどる。
沢歩きを記すのに困ってしまうのは、左岸・右岸のことである。右岸・左岸でいう左右は上流から下流を見ての左右なのだ。だから、沢を登って行くときは左右が逆になってしまうのだ。
私は自分が今いる状況での左右で話してゆきたい。
徒渡を繰り返すようになるが、徒渉点には赤いテープがつけられているので迷うことはない。とはいえ基本的に沢登りは自分が歩きやすいように、自分でルートを決めて行くものなのだ。
幌尻山荘に着いたのは1025分。ここから4時間ほどで北戸蔦別岳に登れるはずだから、時間的には十分余裕である。
小屋の前で休憩。小屋の管理人に山の上でのテント場のことを訊いたら、キャンプ地以外でテントを張ったらいけないのだと、にべもない返事であった。
かってに判断するよりない。
小屋の左に続く踏み跡を辿って川原におりる。再び沢の徒渉が続く。行く手には壁のように聳える稜線が見える。これを登るのかと思うと気が重くなってしまう。
沢はだんだん細くなって大きな岩がゴロゴロするようになる。かなり歩きにくい。
沢の傾斜もきつくなってくる。
小屋から1時間ほどでようやく二股に着いた。六の沢との出会いである。この二つの沢が合流する真ん中にある尾根が稜線への登山道である。沢を登りながら正面に見てきた尾根で、これはすさまじく急である。本当に壁を登って行くようである。
左にも尾根があって、そのピークには岩壁が見える。地図で確認すると、ヌカビラ岳のようだ。あの高さまで登らなければいけにのかと思うとため息が出てしまう。
笹薮からダケカンバの中の道になって、最後は這い松の中の急登になった。
稜線は雲に隠れてしまった。登山道の右にはカールをかかえた稜線が見える。これは幌尻岳の北カールなのだ。晴れていたら幌尻岳の雄姿を見ることができるのに残念だ。振り返ると、ほとんど真下に歩いてきた沢が見えた。いかに急な道を登っているかである。
益々傾斜はきつくなったが、這い松から抜け出るとお花畑が広がっていた。きれいな花に迎えられて疲れも癒されるようである。少し花の写真を撮るのに時間とってしまった。天気は益々悪化して、稜線に登りつくころは深い霧の中であった。
稜線に着いたのは14時半。指導標がたっていて、左が北戸蔦別岳、右が幌尻岳である。
北戸蔦別岳にはここから40分で行けるはずである。3時半には到着できそうだ。一安心である。
この分岐で少し休憩して、北戸蔦別岳に向かった。赤茶けた岩が累々とするピークを越える。1881m峰のようだ。
この岩場を過ぎるとお花畑の稜線になった。緩やかにアップダウンを繰り返して、北戸蔦別岳の山頂に着いたのは
1515分である。
山頂にはりっぱな標識がたっていた。さて、テント場はどうなっているかと探すと、この山頂のすぐ下に一人用のテントがちょうど張れるスペースがあった。山頂が風除けにもなって素晴らしいテント場である。
さっそくテントを張って、中に落ち着いたのは4時であった。さあ、明日は晴れてくれよと祈る。


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駐車場


二つ目のゲート


林道を延々と歩く


取水口を振り返る


ここから渡渉が始まる


渡渉を繰り返す


函があった


沢登りのかっこう


幌尻山荘


行く手に稜線。遠い


二股


二股から一段登ると笹原が広がっていた


稜線に向かってひたすら登る


稜線に着いた


お花畑の稜線を行く


北戸蔦別岳山頂






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