大雪山〜十勝連峰大縦走
上ホロカメットク山 1920m
三峰山 1866m
富良野岳 1912m
上ホロ避難小屋→上ホロカメットク山山頂→上ふらの岳→三峰山山頂→富良野岳山頂→原始ヶ原分岐→蒼天ノ滝→天使の泉→原始ヶ原入口→バス停→バス→富良野駅

十勝連峰の縦走を一日でやってしまった。天気にも恵まれてすばらしい縦走ができたのだが、富良野駅に着いたのは真っ暗であった。
富良野岳への登り.

 上ホロカメットク山山頂へ 1993年 富良野岳・上ホロカメットク山登山


十勝岳から大砲岩への道


大砲岩


上ホロ避難小屋


上ホロカメットク山山頂が見えてきた


上ホロカメットク山山頂

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2007年710

十勝岳山頂からはすぐに下る。岩礫の中をジグザグに下って行く。下方は霧が晴れて緑の稜線が見えた。下るにつれて雲が晴れてきて、縦走路が見渡せるようになった。振り返ると十勝岳にかかっていた雲もなくなってしまって、きれいな三角峰の山頂が見えた。
縦走路の右からは雲が湧き上ってきていて、稜線の左は晴れている。私は雲の境目の稜線を行くのだ。砂地の痩せた稜線を緩やかなアップダウンを繰り返して歩いて行く。左には大きな雪渓の谷があって、その向こうには立派な山が聳えている。地図で確認すると境山と下ホロカメットク山のようである。視界が開けているのは左側なので、この山を眺めながら歩いて行った。振り返ると十勝岳が端正な三角峰となって聳えている。湧き上る白い雲と真っ青な空。いかにも夏山だ。
右から湧き上る雲との境界の稜線は火山性の砂地の道である。アップダウンを繰りかえして登って行くと、行く手に巨岩のたつピークが見えてきた。これが大砲岩であった。昔は三段山との分岐だったのだが、今は通行止めになっている。
砂地の稜線が続く。十勝岳を振り返りながら大砲岩から下って、15分ほど行くと、左下に小屋が見えてきた。これが今日泊まる予定の上ホロ避難小屋である。
小屋の前に着いたのは12時を少し過ぎた頃であった。早すぎる。この調子なら原始ヶ原まで下ってしまえるのではないかと思ったりする。
とりあえず小屋の中にザックを置いて水場を見にいった。目の前に大きな雪渓が広がっている。ところがこの雪渓には水の流れがまったくなかった。雪渓に従って少し下ってみたが流れはありそうもない。水はこの雪を解かすしかなさそうだ。小屋の前のテーブルには雪を入れたビニール袋が置かれていた。小屋に寝袋が敷かれていたので、この人が置いたものだろう。水がないので、小屋に泊まることをあきらめることにした。そうすると必然的に、今日中に富良野岳から下るしかない。
上ホロカメットク山に向かって登る。右側は切り立った火口壁である。その赤茶けた絶壁を眺めながら登って行き、途中で振り返ると避難小屋の向こうに十勝岳がきれいに見えた。
平坦になった稜線を少し行くと山頂に着く。広い砂地の山頂であるが、西側は絶壁である。雲が湧き上ってくる。振り返ると湧き上る雲の間に十勝岳が見えた。



 富良野岳山頂へ
上ふらの岳山頂


三峰山山頂


三峰山から富良野岳への道


富良野岳へは木の階段を登る


富良野岳山頂


岩礫の道をジグザグに下る。行く手には大きな山が聳えている。次のピークは上富良野岳なのだが、地図では10分で行けることになっている。とてもそうは思えないほど高く、遠く見える。鞍部ではハイマツの間の道になり、ふたたび岩礫の道を登ると、ピークに分岐の指導標がたっていた。少しだけ右に行ったところに「上ふらの岳」という標識がたっていた。上ホロカメットクから15分たっていた。山頂は雲の中で視界は閉ざされていた。
山頂から少し下ると雲が晴れ、三峰山に連なる稜線が眺められるようになった。あいかわらず右から雲が湧き上っている。雲の境目の稜線を行く。三峰山は遥か遠くだ。振り返ると火口壁のピークに小さく上富良野岳山頂標識が小さく見えた。
ひたすら稜線を行く。所々ハイマツの間を登る。右側がスッパリと切れ落ちたピークが迫ってくる。これが三峰山だ。岩がゴロゴロする急な道を登ってピークにたつ。ところがこれは山頂ではなくて、少し下ってもう一度登ってようやく山頂に着くのだ。三峰山山頂に着いたのは13時半であった。山頂からは見る富良野岳の山頂は厚い雲に覆われている。でもいかにも大きな山で遠く感じる。
三峰山からはもう一つピークを越して、それから富良野岳との鞍部に下る。三峰山はその名の通り、三つのピークを持っていたのだ。
長い緩やかな下りが続く。ハイマツの間を下って行く。途中、岩峰を通過する。鞍部が近づくとお花畑が広がる。チングルマの大群落が広がっていた。
鞍部から5分ほど登って、富良野岳分岐に着いた。ここには7人の登山者が休憩していた。時間は1420分になっていた。地図によると、富良野岳まで50分、原始が原までの下りが3時間、そして登山口まで1時間半、全部で5時間20分もかかるのだ。でも、この昭文社の時間は長めになっているので、なんとか暗くなる前に登山口に着けるだろうと思っている。振り返ると三峰山の山頂には厚い雲がかかっていた。
富良野岳に向かって登り始める。木枠の階段の登りが続く。最近整備されたばかりのようで、新しい階段だ。この階段の道が終わるところからはお花畑が広がっていた。緑の山の斜面には白い花が一面に咲いていた。この可憐な白い花に励まされて急登を続ける。
山頂到着は1452分であった。山頂には若者のグループが休んでいて賑やかである。
私は今回の大縦走最後のピークということで感慨に浸ってしまう。大雪山からの長かった道のりを思い出してしまった。あとは下りだけである。長めの休憩をとった。
山頂は残念ながら雲の中で、展望はまったくない。でも、うれしい。大縦走をやりあげたという満足感でいっぱいだ。
若者グループが去ったあとで、一人で万歳をした。



 富良野岳から原始ヶ原へ下山
稜線を西に行く


砂礫の涸れ沢を急降下する


下は雪渓だった


湿原に出た


原始ヶ原の富良野岳登山口


蒼天の滝


天使の泉


原始ヶ原登山口


布礼別林道入口


富良野駅


駅の傍の公園、ここに泊まった


原始ヶ原に向かって下る。富良野岳山頂から南に下る踏み跡があるので、これを下った。ところが、この道はすぐに行き止まりになってしまった。地図をよく見ると、山頂からはまず西に下り、それから徐々に南に向かうのだ。
山頂に戻って西に向かう道を探すと、ハイマツに隠された細い道があった。この道を行く。最初は心細い道であったが、しだいにしっかりした道になった。
稜線を緩やかに下って小さなピークを越すと、左に曲がって岩礫の下りになった。かなり急な下りでザラザラした道が続く。道端にコマクサが咲いていた。
道はやがて涸れた沢のような窪地を下るようになった。これは本当にザラザラの滑りやすい道で、傾斜もきつい。この滑りやすい道が延々と続くのだ。これは大変な道である。地図に下り
3時間と書いてあったのがわかるような気がした。砂礫の急な斜面を小さなジグザグで下って行く。所々に鉄棒が立っていたり、赤テープがあるので道に迷う心配はない。
ようやく緑の中に入ったが、急な下りは続く。雪渓の中を下ったりして、沢の流れの中を下ったりして、ようやく樹林の普通の登山道になった。右手にりっぱな山が見えたが、前富良野岳のようである。樹林の中の下りが続き、やがて背の高い笹の間を下るようになった。この頃になるとようやく傾斜も緩やかになってきた。
道がぬかるむようになって、とつぜん湿原に出た。この先、登山道は何度も湿原の中を通って行くのだ。湿原は草原となって広がり、白い綿毛のワタスゲが大群落をつくっている。振り返る富良野岳は厚い雲に隠されて、下の山腹がわずかに見えるだけであった。
湿原はのんびり眺めながら行きたいのだが、焦っている。もう4時半を過ぎていて、人里に出る頃には日が暮れてしまいそうだ。焦って歩いているものだから、ぬかるみに足をとられて、靴が泥だらけになってしまった。
原始ヶ原の分岐に着いたのは
5時になっていた。そこには富良野岳登山口というりっぱな標識があった。ここで少し休憩した。
分岐から登山口を目指して下って行く。深い樹林の中の道で、荒れた道が続く。沢の流れの音が大きくなって、沢の徒渉点に着いた。そこには蒼天の滝の標識があった。沢の上流側が何段かの滝を作っていた。落差は小さいのだが、岩は緑に苔むし、流れが複雑になっている。これはこれで趣きのあるものだと感心した。丸木で沢を渡って、少し行って振り返ると立派な滝がかかっていた。これが蒼天の滝であった。
沢の右側を行く。道はしっかりしたものになってきた。
天使の泉に着いたのは5時半であった。小さな岩穴の中に清水が流れていた。この縦走中、水場はすべて雪渓の流れだったので煮沸しなければいけなかった。でもこの水はその必要がない。今日は登山口にテントを張るつもりだが、その水はここで補給しておくのだ。飲んでみたらすごくうまかった。
水も補給できたので、あとは登山口に下るだけである。下るにつれて道はしっかりしたものになり、途中滝巡りコースの分岐があった。このコースを歩きたいのだが、日が暮れてしまうので登山口に急ぐしかない。
登山口に着いたには6時であった。ほっとした。
登山口にはロータリーのような広場があって、その左にはトイレがあり、管理寮という建物もあった。でも、キャンプ場という感じではない。もう少し林道を下って見ることにした。すると、すぐに熊注意の看板があった。
林道を下って行くがキャンプ場らしきものはなくて、ひたすら林道は続く。さっきの登山口の広場がキャンプ場だったらしい。でも、ここまできたのだから、下っていって、適当なところでテントを張るしかない。でも、こんな山の中では熊が出てきそうで怖い。人家の近くまで行って、それからテントを張ろうと思う。
林道はどこまでも続く。真っ直ぐに樹林の中に続いている。50分ほど歩いたところで東布礼別林道との分岐があった。さらに30分ほど行くと舗装道路との交差点についた。ここが原始が原の入口である。さて、バス停のあるのはどっちだろうと思う。
カンで舗装道路を右に向かった。本当は右に行かなければいけなかったのだ。舗装道路を延々と歩いて行くと、原始の泉があった。ここにテントを張ろうかと思ったが、熊注意の標識があったので止めた。
この舗装道路は通行止めになって、迂回路が左とある。この標識で布礼別や麓郷の方向がわかった。左に曲がって下って行くと、農家が点々とある。どこかでテントを張ろうと思いながらも歩き続けると、交差点に出た。ここに道路標識があって、左に行くと麓郷・布礼別なのだ。ともかくバス停のあるところまでと思いながら歩いて行くと、すっかり暗くなってしまった。舗装道路を歩いているので、足底が痛い。
暗い中で、高校生にすれ違った。麓郷への道を訊いたのだが、近くにバス停がないかとも尋ねたら、向こうに見える街灯の下にバス停があるという。時間はもう8時近くなっていたので、バスも終わったんだろうと訊いたら、まだ間に合うという。お礼を言って、バス停に向かって走った。
街灯の下は三叉路になっていて、バス停の標識がたっていた。助かったと思った。あの高校生に大感謝である。あそこで教えてもらわなかったら、麓郷までの長い道を歩くことになっていたのだ。
10分ほどでバスが来た。よかった。
バスは八幡丘を通って、ロマンシングの丘を通る。そこからは富良野の夜景を眺めることができた。
富良野の駅に着いたのは8時半ころである。駅前に酒屋さんがあったのでビールを買いに行った。駅のベンチで、大縦走の成功に一人で乾杯した。
この富良野駅は18時から駅員がいなくなるので、一晩中開いているのかと思ったら、12時頃に閉鎖してしまうのだ。どこで泊まろうかと思ったら、駅のすぐ近くに公園があって、ベンチがある。今夜は雨が降ることはないので、このベンチでシュラフに入って寝ることにした。夜が明けるまで4時間ほどの我慢である。


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